阪大・Sさん闘いに立ち上がる!

■阪大・Sさん闘いに立ち上がる!

阪大は法人化後採用の短期非常勤職員の雇用期間を最長6年としながら、実態は早期に雇い止めしている。その一人のSさんはこの3月末解雇宣告されたが、継続雇用を勝ち取るため組合に加入。Sさんは自らにおこなわれたパワハラに抗議し闘いを開始しました。

阪大は法人化前からの長期非常勤職員には5年後雇い止めを決定。正規職(特例職員)への転換試験に合格したものだけが生き残れるというサバイバルゲームに追い込んでいます。

阪大の非常勤使い捨てを許さない!(関単労阪大分会)

賛同していただいた方々とメッセージの紹介⑥

みなさま、本当にありがとうございます。

◆内藤進夫(あぱけんKOBE [アルバイト・派遣・パート関西労働組合] 副代表/神戸事務所相談員)

◆白崎朝子(ライター・介護福祉士)
【メッセージ】
 今年私は、元旦から、東京・新宿の路上や公園にいる野宿者に味噌汁やカイロを配って歩いている。2002年から始めた路上訪問活動(夜回り)だが、ここ数年の野宿者の若年化傾向は目に余るものがあり、心が痛む。
 懸命にゆで卵や炊き込みゴハンをつくっても、私の労力や財力ではわずか20人程の空腹を一瞬しか満たさない…。彼らが路上にいる理由は様々だが、そのひとつが貧困の連鎖と、不安定雇用である。
 安心できる屋根と布団を確保するのが、こんなにも困難になってしまったのは派遣法改悪などの雇用対策であり政治の責任だ。
 私は路上の野宿者と関わりながら、皆さんの闘いにエールを送り続けます。

東海圏大学非常勤講師組合

◆鄭光珠(整体師)
【メッセージ】
全面的に賛同します。

◆伊藤敦子

◆山本柚(ライター)

◆永嶋靖久(弁護士)

◆和田弘子

◆中村研(労働組合なにわユニオン
【メッセージ】
日本の常識は、世界の非常識。合理的な理由のない有期雇用は絶対オカシイ!

◆吉岡力(松下PDP事件争議当該)
【メッセージ】
意味のない有期雇用で雇い止めすることは大学にとっても損失であるはず。このような使い捨ては許されません。みなさん頑張って下さい。

関西学院大:団交再開するも、不誠実に終始

【関学非正規雇用職員解雇争議】
「団交再開するも、不誠実に終始(10/1/22)」
★ → http://www.ewaosaka.org/jp/index.html

京都精華大:SocoSocoの団体交渉

■雇い止めになる同僚の「再応募」の確認をとりました!
★ → 2010-01-26 団体交渉の結果

京大の5年条項見直し案、知らないうちにそのまま決定。

★ → 見直し案がいつの間にか決定されていること

「定昇死守VSまず雇用」「非正規、初の争点に」

■クローズアップ2010:春闘、論戦始まる 定昇死守VSまず雇用
 (2010年1月26日『毎日新聞』東京朝刊)
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20100126ddm003020035000c.html
 ◇不景気、デフレ重く
 25日に東京都内で始まった日本経団連と連合による「労使フォーラム」を皮切りに、今春闘の論戦が始まった。ベースアップ(ベア)の統一要求を2年ぶりに見送り、定期昇給(定昇)の死守を訴える労働側に対し、経営側は「賃金より雇用重視」と定昇凍結・延期も含めた総人件費抑制姿勢を前面に打ち出している。26日には経団連の御手洗冨士夫会長と連合の古賀伸明会長の労使トップが会談するが、景気低迷とデフレ進行が重くのしかかり、厳しい交渉になるのは確実だ。もう一つの焦点の非正規雇用労働者の待遇改善の行方も注目される。【東海林智、宮崎泰宏、和田憲二】
[……]
 ◇非正規、初の争点に
 連合は今春闘で初めて「非正規雇用労働者を含むすべての労働者の労働条件の改善に取り組む」との方針を打ち出した。連合はここ数年、パート共闘会議を作るなど、春闘に合わせて非正規の待遇改善を支援し、少しずつだが成果もあげてきた。その取り組みを、今回は派遣や有期雇用など「すべての労働者」に広げる考えで「大企業・正社員中心の春闘」から転換を図る。
 背景には、非正規が労働者全体の4割に近づく状況がある。連合の団野久茂副事務局長は「内需拡大には、賃金の底上げが必要で、非正規への取り組みが欠かせない」と強調。別の連合幹部は「非正規の賃上げが正規の賃金引き下げにつながると思っている組合員もいるが、非正規の低賃金問題を放置すれば、(総人件費抑制姿勢を強める)経営側は正社員の非正規への置き換えを進める」と指摘。「正規社員にもそうした理解がようやく広がってきた」と語る。
 連合は今春闘で非正規の時給の30円引き上げを要求。企業内の最低賃金協定締結を促進し、適用を非正規にまで広げて底上げを図り、非正規の正社員への登用制度の確立・定着を目指す。
 しかし、経営側は非正規について「労働需給の調整弁」(大手電機幹部)との考えが根強く、待遇改善には及び腰だ。景気刺激策などで生産が持ち直した大手自動車や電機メーカーで、リーマン・ショック後の不況で契約を打ち切られた非正規が復職する動きがあるが、正社員とは待遇格差が大きい有期雇用が大半なのもそのためだ。
 今国会では製造業派遣の原則禁止などを盛り込んだ法案が提出される見込み。また、連合に対しては「非正規を犠牲にして自分たちの雇用だけを守ろうとするのではないか」(派遣労働者)との厳しい見方もあり、非正規問題で実のある成果を出せるか注目される。
[……]▲

「「同じ仕事なら、同じ待遇に」パートら切実春闘」

■「同じ仕事なら、同じ待遇に」パートら切実春闘
 (2010年1月26日16時16分『読売新聞』)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100126-OYT1T00730.htm
 連合と日本経団連が首脳懇談会で互いの主張をぶつけ合い、26日に事実上始まった今春闘。
 連合は今回初めて、パートや派遣社員など非正規雇用も含めた「すべての労働者」の待遇改善を要求の柱に掲げた。「同じ仕事をしているなら、同じ待遇に」。そんな切実な声に今春闘はどこまで応えられるのか。
 「忌引休暇がなく、親族の葬儀には通常の休みを取った仲間もいた」
 首都圏に本社を置く鉄道会社の子会社でパート勤めをする女性(59)はそう振り返った。仕事の内容はほぼ同じなのに、パートの待遇は低い。忌引休暇のほか、社員に支給されている食事補助券ももらえない。会社に改善を要求したくて労組に相談に行ったが、「『パートは労組に入れない』と加入を断られた」。
 そこで女性らは昨年3月、パート仲間だけの組合を結成。独自に会社と交渉すると、会社側は秋になって忌引休暇のほか食事補助も認めてくれた。会社側は、パート労働者の待遇改善を目的にした「改正パートタイム労働法」が2008年4月に施行されたことを受け、「正社員との格差是正を検討中だった」という。組合副委員長の女性(58)は「愚痴にとどまっていた不満を会社側に堂々と言えるようになった」。今春闘の連合方針については「全労働者がまとまれば大きな声になる」と期待するが、「無視され続けた私たちにとって何を今さらという感じもする」とも。
 元派遣社員の宮崎彰さん(48)は、京都市内の自動車部品工場に派遣されていたが、不況による減産で仕事がなくなり、昨年1月、約1か月半の契約期間を残して失職した。約1年間、ハローワークに通っているが、仕事は見つからない。雇用保険の失業給付は昨年12月に切れ、今月は無収入だ。宮崎さんは「不安定な派遣や請負労働者に対し、これまで正社員中心だった労組が何をしてくれるのか注目している」と話している。▲

賛同していただいた方々とメッセージの紹介⑤

みなさま、本当にありがとうございます。

◆木村理恵

◆*匿名*
【メッセージ】
安定した生活をさせろ!

◆中島光孝(弁護士)

均等待遇アクション21京都

関西外国語大学21世紀教職員組合

◆鈴木水南子(元セックスワーカー・看護師)
【メッセージ】
東京から応援しています。

◆内海博文(大学教職員)
【メッセージ】
時間と手間をかけて仕事を覚えたり周囲との人間関係を作ってきた非正規の方々を、一律にある年限で解雇する。それがもつ効率性というものもあるんでしょうが、そろそろそうしたやり方の非効率性も無視できなくなってきているように思えます。職場全体にとっても、せっかく育ってきた優れた人材を失ったり、職場の信頼関係が損なわれやすくなったり、解雇に際してトラブルが多発する、といった損失があります。にもかかわらず、「そう決まっているから」として処理するだけが大学経営において高い地位にある方々の仕事だというのでは、いささか寂しい気がします。「大学の危機」が声高に語られ、多くの大学がその場しのぎの経営を迫られている現在、大学における労働のあり方を考え直すことは、かなりの知恵と忍耐がいる作業だと思います。ですが、だからこそそうした忍耐を要する課題への取り組みは、むしろ大学組織の体力や学生さんに対するサービスを向上させ、他の大学が容易にはまねできない強みを生むことにもつながるのではないでしょうか。

◆館長雇止め・バックラッシュ裁判を支援する会(略称:ファイトバックの会)

◆ふじみつこ

◆遠山日出也
【メッセージ】
非正規労働者に対する何の合理的理由もない差別が、真理と正義の府である大学において、21世紀にもなって公然とおこなわれている状況に憤りを感じます。

賛同していただいた方々とメッセージの紹介④

みなさま、本当にありがとうございます。

◆大理奈穂子(大学院生)
【メッセージ】
非常勤講師の賃金の低さも、大学/院の授業料の高さも、
当事者が被扶養者であることを前提に等閑視されています。
非正規雇用者の労働の搾取を基に成り立っている大学は、
学生や院生を収入源としてしか見ない大学でもあるでしょう。

ユニオンWAN

◆鵜飼哲(一橋大学教員)
【メッセージ】
「なんで有期雇用なん!? 大学非正規労働者の雇い止めを許さない関西緊急集会」に賛同します。

◆まつき(県民)

◆遠藤礼子(活動家)
【メッセージ】
そもそも有期雇用はおかしい,しかし,実際,今の法制度の中で,有期雇用するメリットがあるのは一定わかる.しかし,その有期雇用に更新回数上限を定めることには,あらゆる意味で何のメリットもない.「合理的理由なく雇い止めに出来なくなると困るから」というが「合理的理由があれば雇い止めに出来る」のにどうして困る必要があろうか.
しかし,こんな単純な理屈が彼らには通用しない.私たちは,今こそ,「有期雇用に更新回数上限を定めること」に本来内在するデメリット=「雇用が細切れになって安心して働けない」「まじめに働こうという気がなくなる=特に最後の数ヶ月」「労働者を入れ替えるたびに,教育に時間がかかる=利用者が迷惑する」等々の上に,『抗議の声がうるさい!!!!!』という,大きなデメリットをのせることで,勝利できると確信します.共に闘いましょう!

◆さとうしゅういち(民主党員、自治体労働者)
【メッセージ】
旧政権の新自由主義は、公務分野でも、非正規雇用を大きく広げました。どの分野であれ、労働条件の劣悪な仲間を見過ごせば、労働者全体の暮らしが破壊されてしまいます。日本全体に悪影響を与えます。政権交代が実現した今、均等待遇、同一労働同一賃金の実現をめざし、がんばりましょう。

女性と政治キャンペーン広島

◆駒込武(京都大学教育学研究科)

◆池田浩士(京都精華大学)

◆澁谷知美(東京経済大学教員)
【メッセージ】
人を育てる機関である大学が人を切り捨てることを前提とした雇用形態を取るようでは、マズイでしょう。

「大学までもあっさり首切り」

■大学までもあっさり首切り
 (2009年4月7日『朝日新聞』朝刊22面[声])
  大学職員 大椿 裕子
    (神戸市長田区 35)
 有期契約の撤廃を訴え、京都大で無期限ストを行う2人の非常勤職員の姿に、1年後の我が身を重ねてしまう。
 私は障害のある学生の支援を担うコーディネーターとして、私立大に勤務している。雇用期間は最長4年まで。今年度末に雇い止めとなる。継続更新の意思は今のところ大学側にはない。
 大学も一定数の障害学生が毎年入学することを想定し、恒常的に必要な業務と判断したのだろう。にもかかわらず、その大学に応じた支援方法を定着させるスキルと経験を重ねたコーディネーターを、数年ごとに人だけ入れ替えるという方法が、大学にとって、とりわけ障害学生にとってどのようなメリットをもたらすのか。私は理解に苦しむ。
 ロスジェネ世代の私は思う。大学現場もまた、正職員の採用を減らし、非正規雇用者に依存している。努力し、成果を上げても評価されず、あっさりと首を切られる。こうして、若い人を育てないこの国に未来はあるのだろうか。
 雇い止めをする大学に勤務する非正規雇用の人たちに呼びかけたい。あきらめる前に、大学を超え、連帯することが今必要なのではないか。▲

賛同していただいた方々とメッセージの紹介③

みなさま、本当にありがとうございます。

◆岡晃子
【メッセージ】
各大学で,働く人が労働環境改善に向けて立ち上がっているので,
わくわくします!
大学という場所について再考するいい機会じゃないでしょうか。

◆浜島恭子
【メッセージ】
雇用の不平等をなくそう。完全雇用が無理なら、ある仕事を皆で分けよう。

◆松本麻里(vol collective)
【メッセージ】
大学という「学び」の場所での仕事には、
とりわけ経験や蓄積が必要とされると思います。
無理な「雇いどめ」が、ないようにと切に思います。

◆冨山一郎(大阪大学教員)

◆菊地夏野

女性と貧困ネットワーク

◆本橋哲也(東京経済大学教員)
【メッセージ】
大学が反ネオリベラリズムの牙城となるためには、学費の無償化と「非正規労働者」の権利擁護が、まず果たされるべきです。

◆滝澤寛(大学院生)
【メッセージ】
大企業と中小零細企業という産業の二重構造にはじまり、本工と期間工、正社員とパート・アルバイト、男性と女性といった重層的な賃金・待遇の差別構造に加えて、単年度から5年間といった有期雇用制度の導入・固定化など、絶対に認められません。これは、労働者の生活設計を根底から破壊するものです。
しかも、本来”学の独立”を標榜すべき大学が、これを批判するどころか、率先して推進しようとしていることを、大変危惧するものです。ひとつには、国公立大学の”独法化”の綻びが、顕在化した証左でもあります。その綻びをもっとも立場の弱い者たちに押し付けるな! 全大学人、さらには、不安定雇用に苦しむ多くの仲間が、この焦眉の課題について、こぞって議論に加わるよう呼びかけます。

◆貴戸理恵
【メッセージ】
大学非正規労働者の雇い止め反対に賛同いたします。

◆*匿名*
【メッセージ】
首都圏大学非常勤講師組合に属しています。私自身雇止めにあいました。金銭解決し、実質的「勝利」を勝ち取りましたが、今も大学側の理不尽なやり方に苦々しい思いでいます。
「呼びかけ文」にあるように、そもそも有期雇用という名のもとに契約打ち切りを容易にしている雇用形態がおかしいと思います。大学の非常勤講師は1年契約で、現在、およそ継続できるものとして機能していますが、不誠実な大学であればいつでも契約書をたてに雇止めができる状況をつくっています。
大学側は教育者を作ろうとは思っていませんし、非常勤講師の立場では研究者としての自立もできません。それなのに、非常勤講師は教育者としての成果が常に求められます。語学の場合など、専門とは無関係にどのような科目でも教えなければなりません。お客さんとしての学生を満足させるべく、年に2度行われる「授業アンケート」など、ひどいものです(これは文科省がらみではありますが)。また、非常勤になるにせよ、専任になるのならなおのこと業績を問われます。賃金が低く、研究などできない人がたくさんいます。
首都圏大学非常勤講師組合では、やはり職員の雇止めとして闘った清野さんの例があります。大学職員とは仕事の内容は異なりますが、同じ職場で働くものとして、一緒に闘いたいと思います。

「非正規労働に支えられる大学――大学における男女共同参画の課題」

★ → http://wan.or.jp/modules/articles0/index.php?page=article&storyid=30

伊田久美子さん(大阪府立大学人間社会学部教授)によるコラムです。

「大学職員の雇用年限問題」

★ → http://extasy07.exblog.jp/10158783

遠藤礼子さんによる整理です。

5年条項の問題点

★ → http://extasy07.exblog.jp/11792295/

ユニオンエクスタシーによる整理です。

関西学院大の「4年雇い止め」に反対します

★ → ユニオンエクスタシーのメッセージ
★ → ユニオンぼちぼちのメッセージ(立命館分会のブログ)

賛同していただいた方々とメッセージの紹介②

みなさま、本当にありがとうございます。

◆山口静子(女性と貧困ネットワーク
【メッセージ】
2.27集会へアピール
私は25年間JRAに「開催雇用(4週)だ」と社会保険適用除外で、単に日給と年2回の一時金で雇用されました。しかし松岡三郎先生の助言とはげましで年次有給休暇権をかちとりました。その法律解釈をめぐり裁判を起こし1審敗訴2審勝訴3審被上告人として勝利し、解釈例規の書き換えをかちとりました。その裁判中に使用者側から就労上のさまざまな内規を引き出すことができました。大学もJRAにおとらぬ大組織です。大学直雇用者、女性事務職におおい各研究室で孤独にお仕事をされる方々の雇用の実態は一口に「非正規」といっても雇用契約書を裁判の証拠としてださせる厳しさがないと解明しがたいものがあるとおもいます。非正規内差別などない「全学内無権利労働者」のために、現闘争当該の方の、鋭い理論構築を期待いたします。

◆中村和雄(弁護士)
【メッセージ】
労働は商品ではない。非正規雇用の使い捨てを許さない社会をみんなでつくっていきましょう。

◆ぅきき
【メッセージ】
首切りに反対します

◆久保田貢(愛知県立大学)

◆梶屋大輔
【メッセージ】
期間の定めのない雇用が原則!
会の取り組みの発展を祈ります。

◆稲邑恭子

◆橋野高明(日本キリスト教団牧師、同志社大学人文研研究員)

◆荒川区職員労働組合
【メッセージ】
国家公務員、地方公務員も同様に「有期雇用」によって苦しめられています。
私たちは「なくそう!官製ワーキングプア」をテーマに昨年4月、東京で同名の集会開催を呼びかけ、多くの労組、団体、個人が集まり、この問題を社会的にアピールすることが出来ました。今度は、大学での非正規労働者問題を可視化させる意義ある集会の成功を願っています。

◆*匿名*
【メッセージ】
大学の職員が、学生から信頼してもらい、学生が心をひらいて自分の悩みや困難を相談するまでには、多くの時間やエネルギーが必要とします。
それも、ただ時間や手間をかければいいのではなく、いつも真っ暗の中を綱渡りするように慎重に、相手の気持ちがきれないように配慮しながら、信頼関係を築かなければいけません。
そうでないと、学生の人生にとって取り返しのつかないキズや失望感を負わせることになります。
そういったことのできる知識や経験は、ぶつ切れの短い期間の雇用や、「いつクビになるか」といった不安の上にたった状況で、身につけることはできません。
また、学生にとっても、悩みを相談することには、たくさん、たくさんの時間、エネルギー、勇気が必要です。
そうして相談できたことを、ころころと担当職員が変わることで、毎回、やり直しさせることは、無茶です。「もういいや」とあきらめ体質が身についてしまいます。
大学は、これから社会をになう人間を育てるミッションがあります。
また、よりよい社会を目指し、現状の問題や不平等を是正していくような、知識を育む機関でもあります。
そんな大学において、その大学を動かす職員が「人を育てない・育てる気がない」有期雇用であることは矛盾しており、経営に都合のいい欺瞞です。
それは、学生たちに「欺瞞が許される」というメッセージを発します。
以上、どのような側面から見ても、大学非正規労働者の雇い止めは、よくないことです。
したがって、大学非正規労働者の雇い止めに反対いたします。

◆中山美紀(自営業・ヨーガ講師)
【メッセージ】
友人が今年3月に雇止めを言い渡されていることから、
日本の大学内での有期雇用の問題を知りました。
私自身、長くアルバイトや派遣バイトをしてきたので、
期限の決められた条件での雇用で働く者の不安、憤りはよくわかります。
人材をボールペンの替え芯のように扱う社会では、
景気回復も望めないと思います。

賛同していただいた方々とメッセージの紹介①

みなさま、本当にありがとうございます。

◆塩見卓也(弁護士)

◆三井マリ子(豊中市男女共同参画推進センターすてっぷ初代館長、雇止め裁判原告)

ペイ・エクイティ・コンサルティング・オフィス
【メッセージ】
恒常的な仕事に「有期」は許さん!
でも、この問題は1960年代からある女性労働問題です。
今、男性労働者に波及してようやく社会問題になりました。
私たちには公務現場での不当な雇い止め裁判を26年間も闘った仲間(女性)がいます。もっと早く労働運動が取り組むべきだったのです。
「人らしく生きる権利」を行使するために、ともに闘いましょう。
(代表:屋嘉比ふみ子)

◆関根隆晃(学生)
【メッセージ】
「2月27日 なんで有期雇用なん!?関西緊急集会」に賛同します。
人を使い捨てにする思想を学び舎に持ち込むことは学生として絶対に許せません。いま大学はこのような「効率」化と管理強化の理論のもとでますますつまらなくなっているのです。
労働に悦びを!学びに悦びを!学生・職員・市民の手に大学を取り戻しましょう!!

◆栗田隆子(女性と貧困ネットワークフリーターズフリー
【メッセージ】
以前派遣で働いていた官庁では、非常勤職員は雇い止めが「当たり前」となっていたこと、そしてそれを私も含め職員のほとんどが、当たり前なものとして受け入れてしまっていたことを、苦く思い出します。
「当たり前」とされている待遇について、疑問に思っていいのだ、時には声を上げていいのだと一つ一つ気がついていくことが私にとっての「活動」でした。
心より賛同させていただきます。

◆カッセゴール,カール(イエーテボリ大学教員)
◆カッセゴール,美鈴

◆木村涼子(大阪大学教員)
【メッセージ】
「大学非正規労働者の雇い止めを許さない関西緊急集会」に賛同します。

◆笠井弘子(ユニオンWANきょうとユニオン研究会「職場の人権」
【メッセージ】
貴会の取り組みに心から賛同します。人を使い捨てにして人を育てることはできません。全ての人が人として尊重され、誇りと喜びをもって、そして不当な扱いには異議申立ができる働き方が、あたりまえのこととして実現されることを望みます。

◆大久保拓哉

「有期という働き方――働き方が同じでも正社員と待遇に格差」

■有期という働き方(No.286) 働き方が同じでも正社員と待遇に格差
 (2009年11月29日『東京新聞』[生活図鑑])
http://www.tokyo-np.co.jp/article/seikatuzukan/2009/CK2009112902000133.html
 働く人の3人に1人は派遣やパートタイムなど非正規労働者です。非正規雇用の大半は期間が定められた有期契約です。不安定な雇用にもかかわらず、仕事の内容は正社員と変わらない人が半数近くもいます。昇進や賃金でも正社員と比べ格差があります。
 非正規で働く人は増加傾向にあり、二〇〇八年には千七百六十万人にものぼりました。〇九年は雇用調整が進展し、労働者数が減少したものの、非正規比率は30%を超えています。
 非正規の働き方でもっとも多いのはパートタイムです。このため、非正規というと労働時間が正社員に比べ短く、仕事量も少ないなどと思われがちです。
 しかし、厚生労働省の「有期労働契約に関する実態調査」によると、有期契約労働者の40%以上が正社員と同じ働き方をしているとみられます。
 正社員と同じ働き方をしていても、正社員の80%以上が昇進するのに対し、有期契約労働者は約20%しか昇進しません。また、賃金水準も約70%が正社員未満でした。
 このため、賃金水準やキャリアアップしないことへの不満が募り、「正社員にしてほしい」という希望も多くあります。
●雇用不安で生活不安
 事業主は、有期契約労働者を雇用する理由について「業務量の変動に対応するため」「業務量に応じて雇用調整するため」など、一時的なものであるとの答えが多くなっていました。その一方、正社員と同じ働き方が増えているため、有期労働者を雇用する半数以上の企業が「雇わないと事業が成り立たない」としています。
 しかし、昇進や賃金水準については正社員と格差を設けているうえ、正社員への転換制度がある企業も半数に達しませんでした。雇い止めについても「するつもりはない」というのは約13%にすぎません。
 有期契約労働者の一回の契約期間は平均で七・八月。五回程度の更新をし、平均三・二年勤めるという働き方です。
 また平均年齢は約四十歳で、労働者の41%は世帯主でした。年収は百万円超二百万円以下が31%で最も多く、次いで二百万円超三百万円以下の順でした。
 また、金融危機以降、派遣切りに代表される雇用調整は非正規労働者中心に行われました。一家を支える世帯主でありながら、不安定な有期契約では、生活も不安定になっているのではないかとの懸念が強くもたれています。
●均等待遇へ法制化を
 有期労働契約については、契約期間の上限は原則三年です。しかし勤続年数や契約回数については上限の定めがありません。このため、契約期間の平均に見られるように短期間の更新を繰り返す労働者が大半です。労組への加入率も低く、労働条件の改善も進んでいません。
 欧州連合(EU)などでは有期労働契約について、契約期間、更新の制限を設けているほか、正社員との均等待遇を定めています。有期契約労働について、わが国もEU並みの労働者保護に基づいた法制化などを求める声が強まっています。
 制作・亀岡秀人▲

■有期雇用のあり方(No.241) 日本も均等待遇の検討を
 (2009年1月18日『東京新聞』[生活図鑑])
http://www.tokyo-np.co.jp/article/seikatuzukan/2009/CK2009011802000152.html
 非正規の雇用問題が深刻化しています。とくに、派遣や期間従業員など有期という働き方の不安定さが浮き彫りになっています。欧州連合(EU)ではすでに有期雇用について正社員との均等待遇を法制化しています。わが国は有期雇用のあり方をどのようにしていけばよいのでしょうか。
 有期労働契約(雇用期間は原則三年)について、日本の労働契約法では「必要以上に短い期間を定め、反復更新しないよう配慮しなければならない」との努力規定にとどまっています。
 二〇〇八年三月から実施された「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」では、有期雇用者の雇い止め(期間終了による契約打ち切り)について、三十日前までの予告を求めています。しかし、予告の対象となる労働者は、有期労働契約を三回以上更新しているか、あるいは一年を超えて継続して雇用されている場合などに限定されています。
●安易な解雇は違法
 雇い止めに関する裁判所の判断は、使用者側の経済的事情による雇い止めを認めた例がある一方、正社員と同様に解雇に関する判例に基づき、雇い止めを認めなかった例もあります。
 さらに、期間途中の契約打ち切りについて、労働契約法第一七条で「やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間中に解雇されない」趣旨が明記されています。
 やむを得ないとは、予測できない天災によって事業の継続ができなくなったことや、労働者がけがや病気等で働けなくなったときなどで、期間の定めのない労働者以上に、厳格な理由が必要とされています。
 経済的事情で整理解雇を行う場合でも、裁判所の判例に基づき「人員削減を行う理由があるか」「希望退職など解雇を回避する努力を行ったか」などの原則があり、有期雇用にも当てはまります。安易な解雇は違法との指摘があります。
●契約条件厳しいEU
 EUは、一九九九年の「EU有期労働指令」で、有期労働というだけの理由で正社員よりも不利な扱いを受けないという均等待遇の原則を設けています。また、合理的な理由がなければ有期雇用契約を結べないとされています。
 有期雇用で問題になる反復更新について(1)反復継続する有期雇用契約の継続期間の上限を定める(2)契約の更新回数の上限を定める-など最低限の基準を定め各国が法制化しています。
 例えば、フランスとドイツは、正当な理由がなければ、有期雇用契約を締結できません。フランスでは更新は一回までで、期間は最長二十四カ月、ドイツでも原則二年以内に三回までです。オランダでも期間は三年までで更新は二回が上限です。
 国際労働機関(ILO)の「使用者の発意による雇用の終了に関する勧告」(第一六六号、条約では一五八号、日本未批准)では、有期雇用は労働者の利益を考慮し、合理的理由のある場合に限定。有期雇用契約を一回または二回以上更新した場合には、期間の定めのない雇用契約とみなすと定めています。
 EUの労働法制に詳しい労働政策研究・研修機構の浜口桂一郎さんは「有期労働者など非正規社員の賃金、労働条件、雇用終了について正社員との均等待遇を検討する時期ではないか」と指摘しています。
 日本では、経営合理化の一環として、企業は有期労働者を採用、反復更新を繰り返し、雇い止めで解雇の自由化を進めています。期間途中の解雇や雇い止めも含め、有期雇用のあり方を見直す必要がありそうです。▲

参考:荒川区の取り組み

■荒川区非常勤職員の待遇改善 行政サービス向上へ
 (2010年1月18日『東京新聞』[東京])
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20100118/CK2010011802000107.html
 正規職員と非常勤職員の格差を是正するため二〇〇七年、全国でいち早く非常勤職員のための“昇進・昇給制度”を導入した荒川区。今回新たに、育児休業後の復帰制度や、昇進を実感できるように、三段階の職層を六段階に細分化することで、待遇改善をさらに前進させようと試みる。
 荒川区は行財政改革の一環として職員定数の削減を続け、かつては二千三百人以上いた正規職員を本年度は千五百六十四人まで減らした。一方で非常勤職員は増え続け、約六百人までになった。
 非常勤職員の意欲を高めることは、行政サービス向上につながる。単年度の雇用契約で身分保障がなく、ボーナスも昇給もない非常勤職員と正規職員の格差是正が課題だった。
 格差是正は区職員の中から始めると、西川太一郎区長の決断で〇七年に新設した非常勤職員の職層は、「一般」「主任」「総括」の三段階に分けられた。
 総務省は非常勤職員の継続雇用を前提にした制度を認めていないため、区は制度に「昇進・昇給」という言葉を使わず、一般から主任への“昇任”は、選考試験を経て新たに雇用することでクリア。総務省が難色を示す非常勤職員の研修も「区で働く以上、人権問題などの研修は必要」として実施してきた。
 今回の見直しは、最上級の総括非常勤が二人しかおらず、事実上は一般と主任が大半を占めていた状況を改めるのが目的。三つの職層にそれぞれ上級を設けて六段階に細分化し、選考試験の受験期間も短縮した。職員課は「職層を増やすことでステップアップを実感できる機会を増やしたい」としている。
 今回の見直しに対し、継続雇用を前提とした昇給や能力給の創設を求めてきた区職労などは待遇改善という点は評価し認めながらも、全面的には認められないとの立場だ。
 区職労の白石孝書記長は「非常勤職員の仕事の中身は常勤職員と変わらないので、そもそも国が制度を変えるべきだ。今後も正規雇用と昇給制度の両面で要求していく」と話している。 (中里宏)▲

■荒川区 非常勤に育休
 (2010年1月18日『東京新聞』朝刊[社会])
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010011802000099.html
 東京都荒川区は、単年度雇用の非常勤職員が出産で休業中に年度を過ぎても産後三年以内なら復職できる、事実上の育児休業制度の創設を決めた。本年度内にも実施する。非常勤の報酬も現在の三階層から六階層に細分化し、経験や能力に応じた“昇給”の機会を増やす。総務省は単年度雇用の自治体非常勤職員の継続雇用を前提とする制度は認めておらず、区は現行制度内で工夫して正規職員との格差是正を目指す。
 創設するのは「育児休業後復帰制度」。荒川区は「ほかの自治体での導入例は聞いたことがない」と話している。
 行財政改革で自治体職員の定数削減が進む一方、報酬が低く身分も不安定な非常勤職員の数は増え、「官製ワーキングプア」として問題化。特に単年度雇用が前提の非常勤職員には公務員や民間に認められる育児休業制度がなく、制度のはざまに置かれていた。
 荒川区は産前産後(各八週)休暇の後に育児休業(無給)を認めているが、年度内に復帰しない場合は雇用の更新ができず、出産後にやめる非常勤女性が多かった。このため区は「経験と能力を身につけた人材にやめてもらうことはない」として、復帰制度を発案。勤務成績優秀で事前に希望した場合、出産後三年以内で空きポストがあれば、新規雇用の形で復職できることにした。
 区は非常勤職員が約五百人に達した二〇〇七年、「意欲を支える処遇面に正規職員と格差がある」として、十六万八千六百円(事務)で固定されていた非常勤職員の報酬月額を、約十七万~二十五万円の「一般」「主任」「総括(係長級相当)」の三階層に分け、新しい職層で雇用し直す形で報酬をアップする仕組みを導入。有給休暇拡充などの待遇改善も行ってきた。新年度からはこれを六階層、報酬も最高約二十八万円とする。▲

立命館の雇い止め問題

▼以下、〈ゼネラルユニオン立命館大学支部〉のブログから。
◇5年ルール3年ルール
 http://gurits.exblog.jp/7890467
◇労基法14条を理由に雇い止めしないでね~
 http://gurits.exblog.jp/5131123
◇立命館は教職員のポイ捨てをヤメロ!
 http://gurits.exblog.jp/3593919
◇任期法は労基法の例外?労基法違反?
 http://gurits.exblog.jp/3488477
◇2005/6/24-26 配布ビラ
 http://gurits.exblog.jp/2660346
◇2005/10/3 配布ビラ
 http://gurits.exblog.jp/2437122

◆2006/05/27 「ある私立大学の雇用差別と労働強化――使い捨てられる大学教職員」(遠藤礼子さんによる報告レジュメ)
 http://gurits.exblog.jp/3664948【PDF】

非正規労働問題から考える、労組の役割。

■記者の目:非正規労働の仲間が増え、組織率上昇=東海林智(東京社会部)
 (2010年1月13日『毎日新聞』東京朝刊)
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20100113ddm004070153000c.html
 ◇東海林智(とうかいりん・さとし)
 ◇労組は社会連帯の要たれ 孤独な人々を見限るな
 「人と接しないことで、自分は自分を守ってきた。でも、労働組合に入ってみて、それが正解でないことがこの1年間で分かりました」
 昨年、労働組合の組織率が34年ぶりに上昇に転じた。厚生労働省がその調査結果を公表してから間もない12月、東京都内で若者が企画した働くことを話し合うイベントで、一昨年末に契約途中で雇い止めに遭って失職した元派遣労働者の男性(37)は、1年間を振り返り、少し上気した顔でそう言った。今回の労組の組織率反転は、非正規雇用労働者の組織化が進んだことが要因の一つだ。「正社員クラブ」と皮肉られ、メンバーのことだけを考えてきた労組が変わりつつある証しでもある。労組は彼が感じたような、小さな思いの積み重ねを大事にし、社会的なきずなを強める役割を果たしてほしい。
 彼が4年間働いた自動車工場を雇い止めにされたことは、住んでいた寮を追い出されることも同時に意味した。行き詰まり、インターネットで探した個人加盟の労働組合に初めて助けを求めた。彼にとっては大きな決断だった。派遣で働いている時、仕事も覚え、正社員と同じかそれ以上の働きをした自負はある。しかし、職場の朝礼で製造過程の改善などを提案すると、「派遣なんだから控えめにしなよ」と言われた。景気の悪化で社員のボーナスが減額された時は、「派遣さんよりはましだから」と心ないことを言われた。男性は「まるで身分制度です。誰ともかかわらないことが自分を守ることだと思い込んでいた」と話した。
 労組がメンバーのことだけしか考えていないころ、働く環境はグローバル化や市場原理主義の波に洗われた。利益、効率最優先の旗の下、労働者派遣の原則自由化など働き方の規制緩和が進められた。労組はそれらの政策に反対の声を上げた。しかし、組織率が低下する中でその声は軽んじられ、雇用環境の劣化に労働者側から歯止めをかける社会的規制の力は弱まった。その結果、労働者の3人に1人が非正規となり、正社員も過労死・過労自殺が過去最悪レベルで推移するような長時間過重労働の常態化、残業代不払いの名ばかり管理職の拡大などを許した。
 非正規で働く労働者たちは、正社員より低い賃金で不安定な雇用に置かれ、多かれ少なかれ、彼のような孤立感を感じているはずだ。実際、「正社員労組は助けてくれなかった」、「非正規は排除されている」などの言葉をよく聞いた。若年者やシングルマザーからは生活できない低賃金を嘆く声もよく聞く。非正規を中心に貧困状態が広がっていることを実感した。
 そんな中、07年に連合が非正規や中小零細の労働者への取り組みを最優先とする運動方針を決めたことが、一つの転機となった。労組を必要とする人々を仲間に迎えなくては存在意義を問われるとの危機感が、すべての働く者の労働組合という本来の姿に立ち戻らせた。全労連や全労協も相次いで非正規への取り組みに力を注ぐ方針を打ち出し、労働界の流れができた。以降の地道な積み重ねが組織率上昇の下地を作ったといえる。
 「労組は旧態依然だ」と批判の声もある。もちろん、すべての労組や産別の意識が変わったわけではないし、いまだに非正規に無関心な組織もある。しかし、昨年の派遣村の運営や、今年公設派遣村をサポートした「ワンストップの会」は、労組を中心にNPO(非営利組織)や市民団体、弁護士など専門家が集まり運営された。メンバーシップを超えて、生活に困窮する労働者、市民の社会的連帯としての役割を果たそうとしたものだ。また、連合は10年の春闘方針で、非正規など組合員でない労働者も含めたすべての労働者の春闘にする方針を決めている。すぐに大きな成果は出せないかもしれない。だが、これまで目を背けてきた人々へ手を広げ始めたことは確かだ。
 元派遣労働者の彼を迎えた労組は、寮に住み続けることを会社に認めさせ、派遣先での直接雇用を求める裁判(東京地裁で係争中)も支援した。彼は話を聞いてくれて、行動を共にする仲間を得た。無口だった彼は、言葉を取り戻したように多弁になった。連日、ワンストップの会の行動に参加し、1年前の自分のような仲間を励ました。彼は「働き方は変えられないって思っていたけれど、そうじゃない。多くの人とつながることで変えられると思える」と話す。
 過去最悪レベルの失業率など、厳しい状況は今年も続くと見られる。労組は、長期の失業や貧困の中で社会的排除に遭っている人々と手を結び、効率優先の中でずたずたにされた働く者同士、あるいは市民とのつながりを再構築してほしい。そこに困難を乗り越える手段があると思うからだ。▲

阪大の雇い止めに抗議署名

■阪大、非正職員「雇い止め」 教職員600人抗議署名
 (2010年1月19日 asahi.com)
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201001190028.html
 大阪大学が非正職員に対し、正職員への登用制度を導入する代わり、5年後に契約を打ち切る方針を打ち出したことをめぐって、学内が揺れている。非正職員の「雇い止め」につながりかねない方針に、600人近い教職員らから抗議署名が集まった。教職員組合との団体交渉が続く異例の事態に発展している。
 阪大で20年以上勤める非正職員の40歳代の女性は昨年10月、大学から「特例職員制度のお知らせ」という封書を受け取った。新年度から始まる正職員登用制度の説明とともに、雇用契約を2015年3月で打ち切る方針が書かれていた。
 新制度で雇用期間に定めのない正職員になれば年収が増える。正職員としての退職金は退職時でなく、賞与に上乗せして前払いされる。ただそれは、2015年までの5年の間、年1回ある試験に受かるのが前提。また原則として異動がない非正職員と異なり、大阪府内に三つあるキャンパスはもちろん、研究科間などの異動も繰り返すことになる。
 「試験に通らないと阪大を去らなくてはならない。自分たちなりに大学に貢献してきたのに……」。女性の疑問は消えない。
 教授側にも新制度に反対の声がある。秘書や研究・実験のサポートが非正職員の仕事。「専門的な仕事もこなしてもらい、大学の研究や教育のレベルを維持するのに欠かせない」とある教授は話す。
 これに対し阪大の月岡英人理事は「(新制度は)財政事情が厳しいなか優秀な人材を登用する最善の案」と話す。04年に国立大学が法人化されて以降、人件費などにあてられる国立大の運営費交付金は年1%ずつ削減されており、交付金として受け取る退職給付金の定員枠は法人化前のまま。定年時に退職金を払う正職員は増やせないという。
 全体で約3200人いる阪大の非正職員のうち、新制度の対象は04年の法人化前から勤める約370人。阪大は法人化後に採用した非正職員の雇用期間の上限は最長6年と区切ったが、法人化前に雇用した非常勤職員については雇用期間の上限をこれまで、事実上決めてこなかった。
 全国大学高専教職員組合(全大教)が昨年春、全国の約60の国立大を調べたところ、3分の2の大学が法人化後に採用した非正職員の雇用上限期間を最長3年~6年に区切っていた。各大学は法人化前に採用した非正職員は雇用年限を定めておらず、「法人化前の非正職員を対象に年限を区切ったと聞いたのは、阪大が初めて」という。
 法人化後に採用された非正職員の雇い止めも相次いでいる。10年3月末には阪大で約40人、東京大約70人、京都大約50人の非正職員が、それぞれ雇い止めになる見通しだ。
 一方で、「実務に通じた非正職員に残ってもらうのは大学にも得策」として、山梨大や佐賀大などは雇用年限を廃止した。京大も最長5年の年限は維持しながら、辞めた後に公募に応じれば審査を経て再雇用する方向で検討している。(堀篭俊材)▲

「非正規労働者の権利実現全国会議」

■働くナビ:非正規労働の問題で学者や弁護士が全国組織を結成しました。
 (2010年1月18日『毎日新聞』東京朝刊)
http://mainichi.jp/life/today/news/20100118ddm013100015000c.html
 ◆非正規労働の問題で学者や弁護士が全国組織を結成しました。
 ◇雇用の域超え、社会問題に 賃金、処遇改善求め連携訴える
 労働問題や社会保障問題などに取り組む研究者や弁護士などが昨年、「非正規労働者の権利実現全国会議」(代表幹事、脇田滋・龍谷大教授)を結成した。非正規雇用労働の問題で、学者と実務家、市民がこうした組織を作るのは初めて。背景には、働く者の3人に1人以上が非正規で働くという現状に、雇用問題の域を超え社会問題として取り組むべきだとの危機感がある。
 ●女性、若年層の約半分
 昨年11月に開かれた結成総会では、非正規雇用の当事者が現状を報告し、シンポジウムが行われた。
 「雇用保険もない中で働いて仕事を失った。資格や技能を身につけ、正社員で働きたい」。大阪府内在住の24歳の男性は、そう言って言葉を詰まらせた。
 男性は母子家庭で育ち、病弱な母は入退院を繰り返した。不安定な暮らしの中で、高校1年の時に不登校になり中退。母が死亡してからは1人で働いて暮らしてきた。防水の会社などで契約社員としてまじめに働いてきたが、中卒の彼は正社員に登用されることはなく、景気の悪化で解雇された。雇用保険にも加入させてもらえなかったため、失業手当も受給できず、生活に行き詰まった。今は、生活保護で暮らす。求職活動を続け、10社以上の面接に応募したが、不採用だった。彼は「働くことは好きです。けれど、自分には安定した仕事はないのかと落ち込む日々」と話した。
 総会ではこのほか、銀行で派遣の期間制限を超えて働かされたのに直接雇用されずに雇い止めにされた女性や、賃金を一方的に減額された国立病院の非常勤職員らが現状を報告した。
 報告を受けたシンポでは、脇田教授が「非正規問題は当初、女性労働問題ととらえられたが、今ではそこに男性を含む若年者の問題に広がった」と分析。女性や若年者(15~24歳)の約2人に1人は非正規で働いており、社会問題としてとらえる必要性を強調した。
 また、西谷敏・大阪市立大名誉教授は、国際労働機関(ILO)がディーセントワーク(働きがいのある人間らしい労働)を提唱している点から「非正規の細切れの雇用で、一生仕事を探し続けるような働き方や不当な低賃金はディーセントワークではない。雇用の安定と(正社員との)均等な待遇が求められる」と述べた。
 社会保障が専門の木下秀夫・大阪市立大教授は、貧困との関連で非正規雇用労働の問題に言及。「貧困になってから生活保護で救うようなことでは非効率で、貧困になりにくい社会を目指すべきだ。そのためには雇用問題は切り離せない。不安定、低賃金の非正規労働は重大な問題と考えるべきだ」と述べ、幅広い連携の中で、非正規問題に対応する必要性を指摘した。
 ●10年春闘でも取り組み
 同会議は、多様な問題を抱え増え続ける非正規雇用労働者の支援に、労働法制や社会保障、年金制度などの面から研究、議論して提言し、国民的な運動につなげることを目指すとしている。会の呼び掛け人の一人で、消費者金融やクレジット問題に長年取り組んできた木村達也弁護士は「非正規雇用労働者は懸命に働きながら、賃金や処遇の低さ、将来への希望を持てないことなどに苦しんでいる。彼ら、彼女らの声なき声を大きくするために会を作った。労働運動にも影響を与える組織にしたい」と会を結成した意義を強調した。
 労働組合は10年春闘で、非正規問題への取り組みを掲げている。非正規問題は社会的な問題として広がり始めている。同会議への問い合わせは旬報法律事務所(03・3580・5311)の棗(なつめ)一郎弁護士へ。【東海林智】▲

京都精華大:3年雇い止め

★ → 京都精華大学の3年でくび問題

■「雇い止め」制度の廃止を求め 豚汁でアピール 京都精華大
 (2009年1月19日『京都新聞』)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2010011800171&genre=C4&area=K00
(【写真】「3年雇い止め」の廃止を訴えキャンパスで豚汁を振る舞う嘱託助手ら(京都市左京区・京都精華大))
 京都精華大(京都市左京区)の嘱託助手(チューター)らが18日、最長3年の「雇い止め」制度の廃止を求め、キャンパスで昼休みストライキを行い、学生たちに豚汁を振る舞ってアピールした。20日まで続け、学外にも制度廃止要請署名の協力を求める。
 初年次教育「日本語リテラシー」で学生との面談や作文添削を担当するチューターらでつくる京都精華大嘱託教職員組合socosoco(そこそこ)のメンバー。「雇い止めによって学生への指導継続や授業の充実ができなくなる」として組合を結成、大学に制度廃止を求めている。
 京都大(同区)時計台前で非常勤職員の雇い止め制度撤廃を訴える「くびくびカフェ」などに触発され、教育研究の場の非正規雇用問題を広くアピールしようと行動を始めた。
 嘱託助手の山家悠平さん(33)は「教職員が明日が見えない生活を送ることが教育にとって良いことなのか」と訴える。活動の詳細はsocosocoのブログで。▲

関西学院大:障がい学生支援コーディネーターの雇い止め

★ → 関西学院大学障がい学生支援コーディネーター雇い止めに関する抗議Faxのお願い *期間は終了しています。

■関西学院大:障害者サポート担当職員の雇用延長を 学生ら「交代は勉強に不安」
 (2009年12月15日『毎日新聞』大阪夕刊)
 関西学院大(兵庫県西宮市)で障害をもつ学生を支援してきた職員2人が来年3月に雇用契約が切れるため、支援を受けてきた学生らが契約延長を求める意見書を大学に提出している。2人は難聴の学生の代わりに他の学生がノートをとる取り組み「ノートテイク」などに関し調整役を務めてきた。障害のある学生らは「支援してくれる職員がころころ代わるようでは、安心して勉強できない」と訴える。【小坂剛志】
 2人は06年4月、最長4年の期限付き契約職員として「コーディネーター」に採用され、ノートテイクや、発達障害を抱える学生らの履修相談にのるなど支援してきた。しかし、大学は来年3月で契約を更新しないことを決め、新たな職員の公募を始めた。
 意見書を提出したのは、障害をもつ学生2人と保護者、支援の学生ら計15人。発達障害(アスペルガー症候群)の学生は「私たちは人になじむのに時間がかかるし変化が苦手。支援してくれる職員がしょっちゅう代わると混乱する」と訴える。発達障害と難聴を抱える長女(19)=同大1年生=を持つ母親(54)は、「大学には長い視野で考えてほしい」と話す。
 大学側は「意見書は受け取ったが、(最長4年という当初の)雇用契約に沿って対応したい」と説明。しかし、聴覚障害学生支援に詳しい筑波技術大学の白沢麻弓准教授は「大学で障害学生の支援にあたる専門職員は非正規が多い。不況で正規職員として雇うのが難しい状況は理解できるが、このままでは、現場で培ってきたノウハウが継承されない」と指摘している。▲

集会のお知らせ+賛同・呼びかけのお願い

 きたる2月27日に、大学非正規労働者の、3年でくび・4年でくび・5年でくび・6年でくびなどの有期雇用に反対する集会を開きます。大きな運動にしていきたいと思います。
 賛同していただける方、一緒に呼びかけしてくださる方を求めます。

「なんで有期雇用なん!? 大学非正規労働者の雇い止めを許さない関西緊急集会」
★基調講演:脇田滋さん(龍谷大学/労働法)
★現場からの報告
★アピール採択
2010年2月27日(土) 13:00~16:00 エル・おおさか7階708会議室

【呼びかけのチラシ(PDF)】

▼呼びかけ文

 大学、官公庁、一般企業の間で、更新の年限を定めた有期雇用が広がっています。
 恒常的な業務であるにもかかわらず、数年で一律に雇い止めとなる有期雇用、私立大学ではずいぶん前から導入され、既に常態化していますが、国立大学でも 2004年の法人化以降、各大学で有期雇用が導入されてきました。京都大学では5年。大阪大学では6年[*1]。今年3月、全国の国公立大学、私立大学で大量の解雇が実施されます。
 現在大学で働く非正規労働者の多くは女性です。大学に限らず、非正規労働の根底には女性労働の搾取の問題があります。主婦のパート仕事として位置づけられ、夫に扶養されることを前提にしているため待遇は改善されず、それが今では20代・30代の女性・男性がおかれる当たり前の労働環境になりつつあります。
 数年ごとに雇い止めを行い、人だけ入れ替えるのは単に「首のすげかえ」であり、反復更新を繰り返すことにより、更新期待権が生じないようにするための方法です。しかし、多くの非正規労働者は「有期雇用であることを知って契約にサインしたのだから、雇い止めになっても仕方ない。」と諦めます。けれども、私達は声を上げます!

 「なんで有期雇用なん!? そもそも、有期雇用自体がおかしいんちゃう!?」

 有期雇用は「人を育てない・育てる気がない」、人々の働く力を貧困化させていくシステムだと考えます。
 更新や雇い止めの不安に怯えながら働くのではなく、腰を据えじっくりとその仕事に携わりたい!
 同じ仕事をしているのであれば、正規労働者と同一の賃金・待遇を!
 その思いを抱えた関西の国公立・私立大学の非正規労働者たちが大学を超えて集まり、今年3月末に各大学で行われる雇い止めを実行させないため、緊急集会を開くことになりました。
 有期雇用に疑問と不安を抱きつつも、声を上げられない非正規労働者の方々に「共に声を上げよう!」と呼びかけ、有期雇用の問題性[*2]を明らかにし、抜本的な解決策を皆さんと共に考える場にしたいと考えています。

[*1] 阪大は法人化以前からの長期非常勤職員も今後5年で雇い止めにすると発表しました(一部を特例職員として登用)。
[*2] 現在、派遣法改正が国会で論議されています。派遣から直接雇いになったとしても、それが期限付きの有期雇用なら、労働者は不安定なままです。派遣と有期雇用を正しく規制していくことは、非正規労働者の生存を守るために必須の、車の両輪といえる問題だと私たちは考えています。

▼呼びかけ団体

京都大学時間雇用職員組合 ユニオンエクスタシー
関西単一労働組合 大阪大学分会
関西非正規等労働組合 ユニオンぼちぼち
京都精華大学嘱託教職員組合 SocoSoco
関西圏大学非常勤講師組合
大学をどうするか!共に考える全学大討論会実行委員会(大阪大学)
アルバイト・派遣・パート関西労働組合
(2010年2月3日現在)

▼賛同していただける方(個人・団体)

お名前・ご連絡先・メッセージをメールでお送りください(その際、お名前・肩書き・メッセージの公開の可否もあわせてお知らせください)。
→ nandenan0227★gmail.com (★を@に置き換えてください)

▼一緒に呼びかけをしてくださる方(個人・団体)

実行委員会では定期的に会議を開いています。
そのご案内など差し上げますので、上記アドレスまでご連絡ください。

▼賛同カンパをお願いします。

「2/27関西緊急集会へカンパ」と記載の上、郵便振替口座 00950-5-204933 キョートット出版 までお願いします。

阪大は法人化以前に採用された非常勤職員も5年後くび?

★ → http://extasy07.exblog.jp/11665473/

■阪大、退職金前払い制度導入へ 軽い負担で常勤増狙う
 (2009年11月19日 asahi.com)
 大阪大学が、退職金を前払いする正職員制度を、国立大で初めて来年度から導入する方針を固めた。退職金の負担を軽くしてフルタイムで働ける常勤職員を増やす狙いだが、当初は現在の非正職員を対象に採用し、5年間で試験に合格しなかった非正職員は契約を更新しないため、「体のいい雇い止めだ」との反発が出ている。
 教員をサポートする事務系と技術系の職員が対象。定年時の退職金に代わって、9万円~12万5千円の特別賞与を年2回の賞与に上乗せする。60歳定年制など他の待遇は普通の常勤職員とほぼ同じ。
 当初5年は現在約370人いる非正職員から募集。筆記試験や面接で選考する。将来は外部からも採用する方針。看護職員を対象に退職金の前払い制度がある国立大はあるが、「事務系職員を対象にしたのは国立大で初めて」(文部科学省)という。
 阪大によると、04年4月に「国立大学法人」になった際、国が負担する退職金の財源手当ては当時の定員枠が上限になったため、正職員を増やして退職金を積み立てると負担が膨らむ。大学関連予算が伸び悩むなか、負担が少ない制度を導入することにしたという。
 当面は非正職員を対象にすることについて、阪大は「有期雇用の非正職員たちの地位を安定させたい」(人事課)と説明する。対象者は毎年受験できるが、15年3月までに合格できない場合は契約を更新しない考え。
 対象者の大半は40~50歳代の女性。現在は「異動なし」で週30時間勤務が原則だが、新制度では「異動あり」の週40時間勤務となることも、「育児や介護との両立が難しくなる」と不安の声があがる一因だ。
 阪大は11月下旬の役員会で新制度を正式に決定する考え。非正職員たちを支援する阪大教職員組合は、大学側に新制度を撤回するように求めている。(堀篭俊材)
     ◇
 〈退職金前払い制度〉 退職金を在職中に賞与や賃金に上乗せする制度。企業や団体は、退職金を毎年少しずつ支払うことで、将来の退職金支払いに備えた長期にわたる運用や積み立ての負担を軽くできる。日本の退職金制度は賃金の後払いの性格を持つとされ、労働者を定着させる制度として広がったが、終身雇用制が揺らぐなか、松下電器産業(現パナソニック)が98年度から始めるなど多くの企業で前払い制度の導入が相次いだ。▲

京大の5年条項について

★ → http://extasy07.exblog.jp/11792295/
(PDFファイルは → 【こちら】