阪大の雇い止めに抗議署名

■阪大、非正職員「雇い止め」 教職員600人抗議署名
 (2010年1月19日 asahi.com)
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201001190028.html
 大阪大学が非正職員に対し、正職員への登用制度を導入する代わり、5年後に契約を打ち切る方針を打ち出したことをめぐって、学内が揺れている。非正職員の「雇い止め」につながりかねない方針に、600人近い教職員らから抗議署名が集まった。教職員組合との団体交渉が続く異例の事態に発展している。
 阪大で20年以上勤める非正職員の40歳代の女性は昨年10月、大学から「特例職員制度のお知らせ」という封書を受け取った。新年度から始まる正職員登用制度の説明とともに、雇用契約を2015年3月で打ち切る方針が書かれていた。
 新制度で雇用期間に定めのない正職員になれば年収が増える。正職員としての退職金は退職時でなく、賞与に上乗せして前払いされる。ただそれは、2015年までの5年の間、年1回ある試験に受かるのが前提。また原則として異動がない非正職員と異なり、大阪府内に三つあるキャンパスはもちろん、研究科間などの異動も繰り返すことになる。
 「試験に通らないと阪大を去らなくてはならない。自分たちなりに大学に貢献してきたのに……」。女性の疑問は消えない。
 教授側にも新制度に反対の声がある。秘書や研究・実験のサポートが非正職員の仕事。「専門的な仕事もこなしてもらい、大学の研究や教育のレベルを維持するのに欠かせない」とある教授は話す。
 これに対し阪大の月岡英人理事は「(新制度は)財政事情が厳しいなか優秀な人材を登用する最善の案」と話す。04年に国立大学が法人化されて以降、人件費などにあてられる国立大の運営費交付金は年1%ずつ削減されており、交付金として受け取る退職給付金の定員枠は法人化前のまま。定年時に退職金を払う正職員は増やせないという。
 全体で約3200人いる阪大の非正職員のうち、新制度の対象は04年の法人化前から勤める約370人。阪大は法人化後に採用した非正職員の雇用期間の上限は最長6年と区切ったが、法人化前に雇用した非常勤職員については雇用期間の上限をこれまで、事実上決めてこなかった。
 全国大学高専教職員組合(全大教)が昨年春、全国の約60の国立大を調べたところ、3分の2の大学が法人化後に採用した非正職員の雇用上限期間を最長3年~6年に区切っていた。各大学は法人化前に採用した非正職員は雇用年限を定めておらず、「法人化前の非正職員を対象に年限を区切ったと聞いたのは、阪大が初めて」という。
 法人化後に採用された非正職員の雇い止めも相次いでいる。10年3月末には阪大で約40人、東京大約70人、京都大約50人の非正職員が、それぞれ雇い止めになる見通しだ。
 一方で、「実務に通じた非正職員に残ってもらうのは大学にも得策」として、山梨大や佐賀大などは雇用年限を廃止した。京大も最長5年の年限は維持しながら、辞めた後に公募に応じれば審査を経て再雇用する方向で検討している。(堀篭俊材)▲

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