「定昇死守VSまず雇用」「非正規、初の争点に」

■クローズアップ2010:春闘、論戦始まる 定昇死守VSまず雇用
 (2010年1月26日『毎日新聞』東京朝刊)
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20100126ddm003020035000c.html
 ◇不景気、デフレ重く
 25日に東京都内で始まった日本経団連と連合による「労使フォーラム」を皮切りに、今春闘の論戦が始まった。ベースアップ(ベア)の統一要求を2年ぶりに見送り、定期昇給(定昇)の死守を訴える労働側に対し、経営側は「賃金より雇用重視」と定昇凍結・延期も含めた総人件費抑制姿勢を前面に打ち出している。26日には経団連の御手洗冨士夫会長と連合の古賀伸明会長の労使トップが会談するが、景気低迷とデフレ進行が重くのしかかり、厳しい交渉になるのは確実だ。もう一つの焦点の非正規雇用労働者の待遇改善の行方も注目される。【東海林智、宮崎泰宏、和田憲二】
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 ◇非正規、初の争点に
 連合は今春闘で初めて「非正規雇用労働者を含むすべての労働者の労働条件の改善に取り組む」との方針を打ち出した。連合はここ数年、パート共闘会議を作るなど、春闘に合わせて非正規の待遇改善を支援し、少しずつだが成果もあげてきた。その取り組みを、今回は派遣や有期雇用など「すべての労働者」に広げる考えで「大企業・正社員中心の春闘」から転換を図る。
 背景には、非正規が労働者全体の4割に近づく状況がある。連合の団野久茂副事務局長は「内需拡大には、賃金の底上げが必要で、非正規への取り組みが欠かせない」と強調。別の連合幹部は「非正規の賃上げが正規の賃金引き下げにつながると思っている組合員もいるが、非正規の低賃金問題を放置すれば、(総人件費抑制姿勢を強める)経営側は正社員の非正規への置き換えを進める」と指摘。「正規社員にもそうした理解がようやく広がってきた」と語る。
 連合は今春闘で非正規の時給の30円引き上げを要求。企業内の最低賃金協定締結を促進し、適用を非正規にまで広げて底上げを図り、非正規の正社員への登用制度の確立・定着を目指す。
 しかし、経営側は非正規について「労働需給の調整弁」(大手電機幹部)との考えが根強く、待遇改善には及び腰だ。景気刺激策などで生産が持ち直した大手自動車や電機メーカーで、リーマン・ショック後の不況で契約を打ち切られた非正規が復職する動きがあるが、正社員とは待遇格差が大きい有期雇用が大半なのもそのためだ。
 今国会では製造業派遣の原則禁止などを盛り込んだ法案が提出される見込み。また、連合に対しては「非正規を犠牲にして自分たちの雇用だけを守ろうとするのではないか」(派遣労働者)との厳しい見方もあり、非正規問題で実のある成果を出せるか注目される。
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