「非正規労働者の待遇改善は労組の役割を厳しく問うている」

■メーデー 祭典に水差す政権迷走
 (2010年4月29日『中日新聞』[社説])
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2010042902000030.html
 連合は二十九日、全労連は来月一日に東京・代々木公園でメーデー中央大会をそれぞれ開催する。政権交代後初めての祭典だが政治の迷走ぶりに水を差された形だ。足元固めを忘れてはいけない。
 連合の中央大会では鳩山由紀夫首相をはじめ政権与党の首脳があいさつに立ち、例年になく華やかな雰囲気に包まれるはずだ。すべての労働者の雇用と生活を守り希望の持てる社会の実現を目指す。そして「参議院選挙での必勝」を訴える。
 連合はすでに参院選での選挙区候補者四十五人の推薦を決めている。選挙協力を強め政権の基盤を強化する姿勢に揺るぎはない。
 だが、ここにきて微妙な変化も見える。鳩山首相、小沢一郎民主党幹事長のトップ二人の政治資金問題や米軍普天間飛行場の移設問題、高速道路料金をめぐる政府と与党との対立など地方組合員には失望と困惑が広がっている。
 報道機関の内閣支持率が軒並み20~30%台に急落していることもいら立ちの材料だ。この際、政権運営やマニフェスト(政権公約)見直しを進言すべきだ、との声も上がっている。
 労働組合が政治活動に取り組むことは当然の成り行きだが、上ばかり見ていては雇用対策など基本的活動がおろそかになる。
 二月の完全失業率は前月と同じ4・9%と高止まりしている。輸出企業を中心に業績回復が顕著だが、雇用拡大に結び付いていない。また若年労働者の高い失業率の解消も緊急課題である。
 今春闘での賃上げは微増にとどまる見込みだ。最低賃金の引き上げが次の課題である。
 労働者派遣法改正案が今国会で審議されている。製造業や登録型派遣の禁止など、使い捨てされてきた派遣労働者を保護する重要法案である。早期成立を政府・与党に強く働き掛けるべきだ。
 派遣やパート、契約社員など非正規労働者の待遇改善は労組の役割を厳しく問うている。広島電鉄(広島市)のように正社員と契約社員との均等待遇実現で労使が合意したことは注目される。
 連合の非正規労働センターの役割がますます重要だ。派遣業界との協議を通じて悪質業者の排除で一致したことは評価できる。さらに非正規労働者の組織化や労働相談などに取り組んでほしい。
 今年のポスターには「まもろう雇用、なくそう格差」と明記されている。労働者間の格差是正も労組が取り組むべき課題である。▲

なくそう!官製ワーキングプア ~第2回反貧困集会~(05/30@東京)

■国・自治体がワーキングプアつくってどーすんだ!?
 なくそう! 官製ワーキングプア 
   ~第2回 反貧困集会~


<期 日>2010年5月30日(日)午前10時~午後4時30分
<会 場>総評会館2階(東京メトロ新御茶ノ水駅・小川町B3出口/JR御茶ノ水駅下車)
<参加費>500円
<賛同金>団体3,000円(入場券2枚+本)/個人1,000 円(入場券2枚)

★詳細
http://www.union-kk.com/~kansei-wp/2nd_assembly.html

「有期労働契約研究会中間取りまとめ」を読んでいます。

実行委有志で、4月から、厚生労働省「有期労働契約研究会中間取りまとめ」を読み始めました。
第一回の勉強会で読んだ部分でみながひっかかった箇所を挙げると、
◆まず、この「有期労働契約研究会」自体が、「就業構造全体に及ぼす影響も考慮し、有期労働契約が良好な雇用形態として活用されるようにする観点も踏まえつつ、引き続き検討する」(労働政策審議会答申「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)」[平成18年12月27日])という方向性をふまえて開催されるに至っていること(開催要項参照)。
→最初から有期労働契約を「活用」していく観点が前提になっている。【おかしい!】
◆有期労働契約が、労働者にとっては「勤務地や責任の度合い等の点で家庭責任の状況など自らの都合に合った多様な働き方の選択肢の一つ」としてあり、結果、「労使の多様なニーズにより用いられてきた」とする認識(p.2)。
→労働者が(使用者側と対等なレベルで)主体的にこの形態を「選択」している、という認識が前提にある。【おかしい!】
◆「本来正社員を希望しながらやむを得ず有期労働契約労働者となっているような者を典型に、先が見えない不安や頑張ってもステップアップが見込めないことなどから、働く意欲の向上や職業能力形成への取り組みが十分でない実態」があることを認め、「このような雇用の不安定さ、待遇の低さ等に不安、不満を有し、これらの点について正社員との格差が顕著な有期労働契約者の課題に対して政策的に対応することが、今、求められている」(p.4)としながらも、そのすぐあとに「有期労働契約は求人、雇用の場の確保、特に、無業・失業状態から安定的雇用に至るまでの間のステップという点で役割を果たしていることを評価することも必要」(p.5)などと、実態とかけ離れた理想像を打ち出して問題に直面する姿勢をいきなり崩している。【結局、腰引けてるじゃん!】
あと、「不満」という言葉づかい(全体で何度も出てくる)が気になる。これだとニュアンスとして、本来構造的な問題が、労働者の「感情」(わがまま?)の問題に回収されてしまう危険性がある。
◆「職業生涯全体を見据え、キャリア形成のために時宜を得て有期労働契約が活用されることで、職業能力の向上に寄与する役割も期待できよう」(p.5)
→【おかしい!美化するな!】
◆企業側が有期労働契約を市場的な「リスク」に対応するために使っている点について、「そのリスクを専ら有期契約労働者の側に負わせることは公正とは言えない」という問題意識を持ちながらも、「有期契約労働者の雇用の安定や公正な待遇等の確保を考えるに当たって、正社員に適用されるルールとのバランスは意識されるべきであるが、本研究会は、正社員に適用されるルールそのものを論ずる場ではない」(p.5)と明言。【逃げすぎでしょ!しかもいきなり言い訳!】
「有期契約労働者について、有期労働契約に関わる諸課題に即して有期労働契約の在り方に関するルールを検討する必要がある」(p.5)
→あくまで正社員とは「別立て」で論じる構え。正社員の利害代表団体から反発を受けないための配慮?

★話し合ったこと。
正規雇用と分けて、有期雇用だけを取り出すのはなぜか?
本当にかっちり正規雇用と有期雇用と分けて話ができるのか。ルーズな職場もある。仕事が同じなのに契約期間があるかないかという理由でルールができてしまっていいのか。
有期雇用のルールが使用者側に有利にできてしまうとそれに縛られてしまって、労働者の権利主張が難しくなるのではないか。契約は契約だと押し切られてしまうのではないか。
非正規VS.正規の対立軸を意図的に出さないようにしている。
個別の労働法制はいつも名目は○○労働者の「保護」だが、実は労働者を差別的に分断している現状の正当化でしかないのではないか。

基本的には、「すでに使用者側が労働者を使い捨て――「流動性」の確保――するために有期雇用を利用している現状を追認するものではないか」という印象を強く受けました。

次回は、この「中間取りまとめ」の論証根拠とされる「平成21年有期労働契約に関する実態調査」結果について検討する予定です。

「「3年で職を失う」不安を抱えたまま働く」

■「3年で職を失う」不安を抱えたまま働く――事務派遣の31歳女性のケース
 小林 美希
 (2010年4月26日『日経ビジネスオンライン』[守るべき弱者はどこにいる?])
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100422/214126/
 「このままでは、先が見えない」
 松田亜紀さん(仮名、31歳)は、非正社員のまま8年になる。
 大学卒業後、事務職の派遣社員として働き出した亜紀さん。卒業した年は、超就職氷河期の真っ最中だった。「いつか正社員になりたい」と、派遣会社に登録して働きながら転職や正社員登用を狙うことにした。
 最初の2年間で何社かの派遣を経験。現在働いている不動産会社で働き始めてから6年目に入った。最初は時給1500円、3カ月更新という条件で一般事務職として、庶務や経理、調査業務のアシスタントなどの仕事を始めた。
 派遣先では、上司から「正社員になってくれたらいいのに」と言われていた。半年で時給は50円アップ、2年目にまた時給が50円上がり、1600円になった。月収は約25万円。そこから交通費や社会保険料、税金が引かれると手取りは約20万円だったが、「この調子で頑張れば、正社員になるチャンスがあるかもしれない。もっと仕事を覚えたい」。そんな期待に胸を膨らませ、進んでどんな仕事も回してもらった。
 派遣社員で働いて3年になる直前、上司から「3年経つと正社員にしなければならないから、うちでこのまま働くには、いったん契約を打ち切らせてほしいと人事部が言っている。そうすれば、しばらくしたら、また来てもらえるから」と、クーリングオフを提案された。
◆派遣切りは改善されたのか?
 労働者派遣法では、安易な正社員の代替としての派遣制度の利用を防ぐため、通訳など専門的な26業務以外の職種では派遣期間は3年が上限と決められている。一般事務などで3年を超えて同一業務に携わる場合、派遣先はその職種を採用する際に、3年働いていた派遣社員に対し、優先的に直接雇用(正社員や契約社員、アルバイトを指す)を申し出る義務がある。
 2004年の労働者派遣法の改正で、派遣期間が1年から3年へ延長されたことをきっかけに、大手企業を中心に「コンプライアンス(法令順守)重視」と、直接雇用を嫌う企業が3年経った派遣社員や派遣契約を一斉に打ち切るという、一般事務職の派遣切りが横行し、その慣行が浸透。2年11カ月という、労働基準法が定める「雇い止めの30日以上前に予告する」というギリギリのところでの派遣契約の打ち切りが行われるようになったのだ。リーマンショック後の製造業の派遣切りより以前から、こうした問題は起こっていた。
 このいわゆる“3年ルール”があるため、派遣社員が同じ職場で3年を超えて働く場合、派遣先が直接雇用する意思がない以上、3年を超えないように契約にクーリング期間を設けるという現象が起こった。このクーリング期間については、厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」によって、「同一の業務について契約を更新する場合、直前の契約と次の契約の間が3カ月を超えない場合、継続した契約とみなす」と規定されていることから、それを拡大解釈したものと言える。
 こうした実態は、派遣だけでなく契約社員などの有期労働契約も同じで、労働者派遣法が改正された同じ年の2004年は、労働基準法も改正され、有期労働契約の期間の上限が1年から3年となったことで、契約社員などにも“3年ルール”による非正規切りが起こっていた。この傾向は、大手企業ほど顕著だった。
 のちに、こうした“3年ルール”による派遣切りが社会問題化し、正社員登用が進んだ。が、「コンプラ重視」によるものである以上、雇用の質としては“名ばかり正社員”の域を超えるものではないことが少なくない。
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「減るか長時間労働 労基法改正は『不十分』」

■減るか長時間労働 労基法改正は『不十分』
 (2010年4月22日『東京新聞』[暮らし])
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2010042202000072.html
 長時間労働は、働く人の健康を脅かし、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の実現の障壁にもなる。四月に、働き過ぎ解消を目指し、残業代の賃金割増率を引き上げる改正労働基準法が施行された。働きやすい職場は増えるのか。企業の取り組みはどうなるのか。 (服部利崇)
 関東地方の大手自動車メーカーの工場で、エンジン部品管理などを担当する正社員男性(58)の勤務は週六日。疲れが取れず、体への負担は増す一方だ。
 二〇〇八年秋のリーマン・ショック以降、激減した生産量は、中国向け輸出で回復。昨年十二月からは残業も再開された。平日は連日残業で約十時間勤務。大型連休には工場が休業するため、今月から土曜日も八時間働いている。
 「『派遣切り』で業界が批判を浴びて以来、会社は期間従業員や派遣労働者の採用に慎重で、現場は人手不足。長時間労働という形でしわ寄せが正社員にきた」と男性は嘆く。
 トヨタの大規模リコールの余波か、会社の品質管理チェックはこれまで以上に厳しい。「ミスは許されず、肉体的にも精神的にも疲れる。このペースで残業すれば事故のリスクが高まりかねない。人を増やしてほしい。これでは労働者の健康は守られない」
     ◇
 厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、事業所規模三十人以上で、パートなど非正規雇用も含めた全労働者の年間総実労働時間は減少傾向だが、フルタイム労働者に限れば年二千時間前後で高止まり状態。週六十時間以上働く人もまだ多く、〇九年の総務省労働力調査では全体の9・2%。子育て世代の三十代男性に限れば18%だ。
 一日に施行された改正労基法も長時間労働抑制が狙いだ。月四十五時間など残業の「限度時間」を超えた場合、通常の賃金に対して25%を超える割増率を設定するよう努力義務を課した。さらに、残業が月六十時間を超えたときの最低割増率は50%と義務づけた。厚労省監督課は「企業にとって50%はかなりの負担」と、残業抑制効果に自信を見せるが、企業の対応は分かれるとの指摘も出ている。
 一層の時短に取り組む企業がある一方、小手先の対応で済ませる企業も多いとみる大和総研の人事コンサルタント広川明子さん(34)は、「(残業代支払い義務のない)管理監督者扱いにするなど、人件費削減に走り、肝心の長時間労働を見直さない企業もあるのでは」と分析。表に出ない形でサービス残業が増えるとも懸念している。
 中小企業への割増率50%適用が見送られたことから、改正法の中身が不十分、との声も上がっている。労働弁護団常任幹事の佐藤正知弁護士(36)は、「大部分の労働者が働く中小が除外されたら、本気で長時間労働を減らす気がないと、思われても仕方がない」と、ばっさり。割増率についても、「残業させるぐらいなら新たに一人雇う方が得、と思える割増率にしないとダメ。せめて100%は必要だ」と迫る。
     ◇
 正規労働者より待遇が低い非正規労働者も深刻だ。生活費を稼ぐため、仕事のかけ持ちを強いられる人がいるなど、法改正の恩恵は受けにくいのが現実。
 「時給は下がり、貯蓄もできない」。非常勤の臨床心理士として、千葉県の児童養護施設で働く木村秀(まさる)さん(32)は、大学講師など三つの仕事のかけ持ちで、なんとか手取り月計三十万円を稼ぐ。施設では月十六日のフルタイム勤務。虐待を受けた児童のセラピーのほか職員のケアも担当し、残業は日常茶飯事だ。「本当にこのまま続けていけるのか」。不安ばかりが募っている。▲

「「直接雇用」なお不安 新派遣法審議入り」

■「直接雇用」なお不安 新派遣法審議入り
 (2010年4月16日16時17分『中日新聞』 [社会])
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2010041690161519.html
(【写真】派遣法の抜本改正を求める非正規労働者の座り込みで、直接雇用制度の問題点を指摘する阿久津真一さん=14日、東京・永田町の国会前で)
 16日から国会で審議が始まった労働者派遣法改正案で、企業側に違法行為があった場合、派遣先企業に労働者の直接雇用義務を課す新制度について、労働者側から「抜け穴だらけだ」と批判が相次いでいる。直接雇用といっても契約期間は短期で終わる場合もあり、労働条件も元のままだからだ。労働者側は「違法派遣の根絶にはならない」と改善を求めている。
 「契約期間が限定され、ずっと不安定な立場に置かれてきた。なぜ、改正法に雇い止め禁止の条文を盛り込まないのか」
 愛知県三好町(現みよし市)の自動車関連工場の契約を打ち切られたブラジル人男性7人が所属する全日本金属情報機器労働組合愛知地方本部の平田英友執行委員長は、政府案を批判する。
 同組合によると、7人はいずれも実態は派遣なのに業務請負に見せかける「偽装請負」だった。男性らは労働組合を結成し、2006年に直接雇用を要求。雇用期間は6カ月の限定だが、業績が悪化した場合を除き原則、更新を繰り返すことを条件に双方が直接雇用に合意した。
 だが08年秋からの世界的不況の影響で、男性らは翌年に相次いで契約更新打ち切りを通告された。名古屋地裁に労働審判を申し立てたが、会社側は「人員余剰が拡大される中でやむを得ない」と反論。現在は民事訴訟に持ち込まれている。
 こうした派遣労働者の“解雇”が相次いだのを背景に導入される新制度だが、労働者側が問題にしているのは、改正案に盛り込まれた「直接雇用みなし制度」だ。現行法でも3年の制限期間を超えて派遣で働かせた場合、派遣先企業は労働者を直接雇用する義務があるが、改正案は違反対象を拡大。建設・港湾作業など危険業務への派遣や、偽装請負などの違法行為があった場合も直接雇用を義務づける。
 だが、直接雇用が実現しても、フランスやドイツと違って、期間社員として有期雇用となるため、雇用期間が過ぎれば、すぐに雇い止めになる恐れが依然として残される。
 「違法に働かされている労働者を救ってほしい」。宇都宮市のキヤノン工場で働き、直接雇用の後に雇い止めにあった阿久津真一さん(42)は14日、国会前で、同じように職を失った約20人と法案見直しの声を上げた。「直接雇用を義務づけても、短期で切られるなら救われない」と訴えた。
 【直接雇用みなし制度】 フランスでは派遣先が派遣期間制限などに違反した場合、労働者と無期限の雇用契約を結んでいたとみなして社員にしなければならない。ドイツでは派遣会社が無許可営業の場合、派遣先の労働条件で雇用される。日本では2008年、厚生労働省の研究会が導入を提案。財界は「契約や採用の自由を侵害する」と反対したが、違法派遣に歯止めをかけようと、派遣期間内の有期雇用の形で改正案に盛り込まれた。
(中日新聞)▲

「外国語指導助手 『偽装請負』 柏、61校授業できず」

■外国語指導助手 『偽装請負』 柏、61校授業できず
 (2010年4月17日『東京新聞』朝刊 [社会])
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010041702000058.html
 千葉県柏市は十六日、市立小中学校六十一校で英語を教える外国語指導助手(ALT)について、労働者派遣法に違反する「偽装請負」に当たるとして、厚生労働省千葉労働局から是正指導を受けたと発表した。
 市は二十三日に本年度のALTを各校に配置する予定だったが、適切な措置を決めるまで当面見合わせる。
 是正指導を受けたため、指導助手らは学校で勤務できず、学校側は本年度のALTの授業を始められない状態となる。
 市は、東京都内の業者に業務を委託して各校にALTを配置。本来、ALTは請負元である業者から業務の指示を受けなければならないが、二〇〇九年度までの三年間、学校側の指示で授業を行ったこともあったと判断された。市教育委員会は「適正な業務委託という認識だった。雇用形態を一から検討したい」としている。▲

「女性労働白書:非正規雇用者、初の減少」

■女性労働白書:非正規雇用者、初の減少
 (2010年4月9日19時01分(最終更新4月9日22時20分)『毎日新聞』)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100410k0000m020024000c.html
 厚生労働省は9日、09年版女性労働白書(働く女性の実情)を公表した。女性の労働力人口(就業者と完全失業者の合計)は過去最多の2771万人になったが、非正規雇用労働者は比較可能な03年以降で初めて減少した。増加を続けてきた非正規雇用でも雇用調整が厳しくなっている実態が浮き彫りになった。
 白書によると、女性の雇用者数は2311万人(08年比1万人減)で7年ぶりの減少となった。だが、男性が過去最大幅の減少となったため、雇用者総数に占める女性の割合は42.3%(同0.4ポイント増)と過去最大の割合になった。正社員は1046万人(同6万人増)、非正規は1196万人(同6万人減)。正社員が増えた要因は、介護など医療、福祉分野で正社員雇用が増加したことが大きいと見られる。
 男女間の賃金格差は、男性を100として女性は69.8(同2ポイント増)、正社員に限ると72.6(同)と依然格差は大きいが縮小傾向にある。
 厚労省雇用均等政策課は「正社員の増加は介護などの分野に限定される。非正規が50%を超える女性の働き方に転換があったとまでは言えない」と分析する。▲

集会の記事の英語版(レイバーネット国際部)

■Japan's non-regular employment is escape from law! -- Kansai rally against discontinuation of contracts with non-regular university faculty
(Friday, March 12, 2010 - Labornet Japan)
http://labornetjp.blogspot.com/2010/03/japans-non-regular-employment-is-escape.html

これを使って、海外のお知り合いのかたへの情報提供、みなさんよろしくお願いします。

「改正雇用保険法が成立 非正社員の条件緩和、保険料は増」

■改正雇用保険法が成立 非正社員の条件緩和、保険料は増
 (2010年3月31日 asahi.com)
http://www.asahi.com/job/news/TKY201003310339.html
 非正社員が雇用保険に入る条件の緩和を柱とした改正雇用保険法が31日、参院本会議で可決、成立した。新年度から推計255万人が新たに加入対象になる。一方、労使で負担する雇用保険料率は賃金の1.1%から1.55%に引き上げられる。悪化する雇用保険財政や、なお対象から漏れる労働者をどう支えるのかが、今後の焦点になる。
 新たに雇用保険の対象になる人は、労働時間が週20時間以上40時間未満で、雇用見込みが31日以上6カ月未満のパート社員ら。すでに雇用保険に入っている正社員らに比べて失職のリスクが大きいため、雇用保険財政にとっては、保険料収入の増加を考慮しても年間1500億円程度のマイナス要因になる。
 完全失業率が5%前後で推移する厳しい雇用情勢の中、雇用保険財政の悪化を少しでも抑えるため、2010年度の保険料率(失業給付分、労使折半)は前年度から5割増える。月収30万円の働き手の場合、保険料負担は1200円から1800円に増える計算だ。1月に成立した09年度2次補正予算では、一般会計から3500億円が臨時に注入された。
 雇用保険には、家計の「預貯金」にあたる積立金が08年度末で約5兆6千億円もある。潤沢な蓄えにもかかわらず財政強化を急ぐのは、1995年度に約4兆6千億円あった積立金が、雇用情勢の悪化で02年度に底を突きかけた経験があるからだ。厚生労働省の試算では、10年度には失業給付の支払いだけで7千億円分が減る。
 また、生産量が落ち込んだ企業に休業手当を助成する雇用調整助成金が、09年4月~10年2月で6千億円(前年同期は10億円弱)と巨額に上っていることも大きい。雇調金は、事業者負担だけで成り立つ「雇用保険二事業」から支出されており、失業給付部分とは別勘定だが、雇調金の急増で財源が枯渇。失業給付の積立金から4400億円を無利子で貸し付けることになった。不況が長引けば返済が滞ったり、再び支援が必要になったりする恐れもある。
 さらに、民主党が11年度の導入を目指している「求職者支援制度」も財政悪化の要因になりうる。雇用保険に入っていなかったり、失業給付が切れたりした失業者に対し、職業訓練中の生活費を月約10万円支給する仕組みで、必要経費は年間5千億円とされている。厚労省は税金で実施するよう求める方針だが、マニフェスト実現の財源確保に苦心する財務省は雇用保険からの拠出を主張するとみられ、11年度予算編成に向けて激しい論議になりそうだ。
 今回の改正で雇用の安全網は広がるが、労働時間が週20時間未満の労働者や、65歳以上で職に就いた高齢者は、雇用保険の対象から外れたままだ。「雇用保険は自分の労働で生計を立てている人の安全網」との考えからだが、低賃金のため短時間の仕事をかけ持ちし、合計では週20時間を超しているケースもある。こうした働き手をどう救済するのかも検討課題になる。▲

「熊本大、短期看護師ら正職員化」

■熊本大、短期看護師ら正職員化 大学病院の人材確保狙う
 (2010/03/31 15:51 共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010033101000616.html
 熊本大は31日、大学病院の看護師や薬剤師らの非正規職員「特定有期雇用職員」約390人を2010年度から正規職員にすることを明らかにした。これらの職種については今後、新規の場合も基本的に正規職員として採用する。
 医療現場での短期雇用職員増加は、人材確保面からも問題になっており、熊本大は特定有期雇用職員制度自体を廃止する。同大の教職員組合によると、看護師だけでなく、薬剤師や臨床検査技師ら医療技術職員まで含めた正規職員化は全国の公立大病院で初めてという。
 熊本大は2006年度に同制度を導入。現在は事務職を除く病院職員約1600人の4分の1に達している。給与や業務内容は正規職員と同じだが、契約は毎年更改。最長5年で雇い止めになるほか、同じ期間働いた場合でも正規職員と退職金総額が違うなどの格差があり、組合が改善を求めていた。▲

■看護師ら 390人、非正規を廃止 熊大付属病院
 (2010年03月31日 くまにちコム)
http://kumanichi.com/news/local/main/20100331004.shtml
 熊本大は30日、同大付属病院で働く看護師や医療技術職員ら非正規の「特定有期雇用職員」390人を、2010年度(4月1日付)から、正職員として採用することを明らかにした。同大教職員組合によると、全国の公立大学付属病院で、特定有期雇用職員をすべて正職員化するのは初めてという。
 対象となるのは、看護師を中心に薬剤師や臨床検査技師、診療放射線技師など14職種。正職員化に伴い、特定有期雇用職員制度そのものを廃止し、職員就業規則から同職員の項目を削除する。
 同大人事課によると、特定有期雇用職員制度は06年度に導入。職員の給与や手当、業務の内容や責任は正職員と同等だが、契約は年度ごとの更新で、最長5年で雇い止め。介護休業や育児休業の日数も正規職員の半分と、待遇に差があった。
 制度は10年度末で導入丸5年となり、来春には、大量の離職者が見込まれていた。また、「将来への不安から、募集しても人が集まらない」「優秀な人材が育たない」など問題点を指摘する声もあり、同大は昨年5月ごろから見直しを進めていた。
 正職員化に伴い、同病院は10年度から、390人分の退職手当引当金を毎年約4千万円ずつ積み立てる。一方、毎年度末に支給していた任期満了手当は廃止する。(飯村直亮)▲

★「画期的な成果!! 2010年4月から附属病院の特定有期雇用職員を正職員化―2月1日団体交渉・2月4日附属病院長交渉報告―」(『赤煉瓦』2009年度第30号)
 →
http://union.kumamoto-u.ac.jp/akarenga/2009/akarenga0930.htm