「再雇用契約:「期待権」初認定--京都地裁判決」

■再雇用契約:「期待権」初認定--京都地裁判決
 (2010年11月27日『毎日新聞』東京朝刊)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101127ddm041040045000c.html
 京都府向日市の倉庫会社を60歳で定年退職後に継続雇用された大津市の男性(62)が、1年での雇用打ち切りを不服として地位確認と未払い賃金の支払いを求めた訴訟の判決が26日、京都地裁であった。大島真一裁判官は「雇用継続への期待には合理性があり、雇い止めは解雇権の乱用に当たる」と述べ、請求を認めた。男性の代理人弁護士は、再雇用後の雇い止めを巡る訴訟で「期待権」を認めた初の判決としている。
 判決によると、65歳までの雇用確保に努めるよう義務付けた06年施行の改正高齢者雇用安定法を受け、同社は08年2月に就業規則を改定。体力面など一定の条件を満たせば再雇用後も契約更新することにした。しかし同年6月に再雇用された男性は業績不振を理由に1年で打ち切られた。
 大島裁判官は、同社が他の再雇用者の契約は更新していることなどから「雇い止めを回避する努力を尽くしたとは言えない」と判断。更に男性が定年まで勤め上げたことを踏まえ「再雇用は実質的に期間の定めのない雇用契約に類似する」と述べた。【古屋敷尚子】▲

■再雇用1年後の雇い止めは無効 京都地裁判決
 (2010年11月27日09時36分『京都新聞』)
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20101127000019
 65歳までの雇用継続を義務づける高年齢者雇用安定法に基づく再雇用制度を設けた倉庫会社(東京都)の京都府向日市の営業所に勤務していた小牧明さん(62)=大津市=が、再雇用1年後の雇い止めは不当として、地位確認などを求めた訴訟の判決が26日、京都地裁であった。大島眞一裁判官は「64歳まで雇用継続の合理的期待があったといえる。雇い止めは無効」として、小牧さんの請求を認めた。
 大島裁判官は、就業規則に一定の基準を満たす者の再雇用が明記され、小牧さんは基準に該当すると指摘した。その上で「会社が雇い止め回避の努力をしておらず、解雇権の乱用」と判断した。
 判決によると、小牧さんは2008年6月に定年退職し、64歳まで1年単位で契約更新する会社の制度に基づいて再雇用された。しかし、業績不振を利用として09年6月に雇い止めになった。▲

「日本人材派遣協会 14の嘘を暴く 「ハケンのリアル」 完成!」

■日本人材派遣協会 14の嘘を暴く 「ハケンのリアル」 完成!
 (2010-11-27 <女性と貧困ネットワーク>ブログ)
http://d.hatena.ne.jp/binbowwomen/20101127/1290846292

日本人材派遣協会への反撃冊子「ハケンのリアル」のPDF版がダウンロードできます。

「有期雇用をいかに規制すべきか」

■有期雇用をいかに規制すべきか
 (2010-11-29 <派遣ユニオン>ブログ)
http://hakenunion.blog105.fc2.com/blog-entry-204.html

こちらもぜひ。

■東大社研「派遣社員・請負社員アンケート」批判
 (2010-11-25 <派遣ユニオン>ブログ)
http://hakenunion.blog105.fc2.com/blog-entry-203.html

「労働者派遣法:改正案、今国会の成立困難 労働者「2年もたつのに環境変わらず」」

■労働者派遣法:改正案、今国会の成立困難 労働者「2年もたつのに環境変わらず」
 (2010年11月4日『毎日新聞』東京朝刊)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101104ddm041040046000c.html
 <追跡>
 労働者派遣法改正案の今国会成立が困難な情勢になっている。野党側の反発が根強いうえ、審議日数も残り少ないためだ。08年秋の世界同時不況に伴う派遣切り多発を機に、規制強化に向けた世論が高まった同法。2年たっても動かぬ事態に、労働者側からは反発の声が上がっている。【市川明代】
 「今ここで労働者の権利を確立しておかなければ、また規制緩和へと後戻りしてしまうのではないか」。日本労働弁護団が先月25日に衆院議員会館で開いた集会で、参加者から声が上がった。日本経団連は同14日、派遣法で原則3年とされている派遣期間制限を5年に拡大するなどの規制緩和策を盛り込んだ要望を政府に提出。会場には、現状へのいら立ちが広がっていた。
 集会では、当初は規制が不十分との理由で改正案に批判的な姿勢を示してきた全労連や全労協の幹部が、成立に向け奮闘する意欲を強調。連合も同じ25日、別の院内集会で民主党議員らを前に改正案の早期成立を求めた。
 「あれから2年もたつのに、派遣労働者の置かれた環境は何も変わらない。あの騒ぎは何だったんでしょうね」。08年秋に派遣切りに遭った男性(48)はため息をつく。
 04年の製造業派遣解禁直後から、派遣労働者として働いた。契約打ち切りを何度も経験し、3年の期間制限を超えて働いた自動車部品工場で、派遣先に義務づけられた直接雇用を求めようとした矢先に、契約の中途解除を言い渡された。
 その後、ヘルパーの資格を取り、現在は東京都内の介護施設に勤める。年齢や細切れの職歴を理由に十数カ所で採用を断られ、やっと得た仕事だ。派遣時代に18万円だった月収は夜勤手当を含め22万円程度になり、いつ切られるか分からない不安からも解放された。だが、「派遣法をちょっと改正しても、企業は必ず抜け道を考える」という。
 それでも「今回の改正案をうまく使えばかなりの労働者を守れる」と、労働弁護団の棗(なつめ)一郎弁護士は力説する。
 改正案には、偽装請負などの違法派遣があった場合に派遣先と労働者との間に雇用関係が成立しているとみなす「みなし雇用制度」が盛り込まれた。違法派遣を巡る進行中の裁判は、労働弁護団が把握しているだけでも70件。厚生労働省が09年度に実施した派遣事業に関する法令違反の是正指導は7364件(前年度比13%増)で、5年間で3倍強に増加した。
 有期であっても、直接雇用であれば、派遣元と派遣先の責任の所在があいまいな派遣労働と比べ、使用者責任が明確になる。労働組合を作って会社側との団体交渉もできる。契約が反復更新されれば、解雇も簡単にはできなくなる。
 ◇直接雇用への切り替え進む
 ただ、企業の間では、派遣法改正を見越した動きも始まっている。同省が発表した09年度労働者派遣事業報告のまとめによると、派遣で働いた労働者は前年度比24・3%減の301万9521人。86年度の調査開始以来最大の下げ幅を記録した。大手企業を中心に、期間工などの直接雇用への切り替えが進んでいる。
 棗弁護士は「派遣以外の有期雇用が増えれば、今度は有期雇用への規制の必要性が浮き彫りになる。そのための第一歩として、責任を伴わず安易に首を切れる派遣という働き方を是正しなければならない」と強調している。
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 ■ことば
 ◇労働者派遣法改正案
 仕事のある時だけ派遣会社と短期契約を結ぶ「登録型派遣」の原則禁止▽04年に解禁された製造業業務への派遣の原則禁止▽偽装請負などの違法な派遣に関与した派遣先企業が労働者を直接雇用したものとみなす「みなし雇用制度」の導入--などが主な内容。
 今年3月に閣議決定され、通常国会で成立の見込みだったが、6月に鳩山由紀夫前首相の退陣表明で審議日程が白紙となり、継続審議になった。自民党は製造業業務への派遣禁止に強く反対。公明党も「中小企業への影響が大きい」として慎重な姿勢を見せている。労働者派遣は直接の雇用関係がないため、契約社員などの他の有期契約労働者と比べ、企業側に都合のいい働かせ方とされてきた。▲