非正規職員の不当な雇い止め(茨城県)

■元嘱託「県の雇い止めは不当」
 (2011年04月22日 asahi.com>マイタウン茨城)
http://mytown.asahi.com/ibaraki/news.php?k_id=08000001104220001
 労働組合に入ったために「雇い止め」をされたとして、県の元嘱託職員、岩沢仁志さん(48)=つくば市=が21日、県に対し、職員としての地位確認と500万円の損害賠償を求める訴訟を水戸地裁に起こした。
 訴えによると、岩沢さんは2007年4月、県の霞ケ浦北浦水産事務所の非常勤嘱託職員として1年契約で働き始め、漁船の登録業務に従事。08年4月に再任用されてから県職員組合に加入し、09年3月、再任用を拒否された。
 拒否の理由は明らかにされていない。だが、岩沢さんの後任の県職員は一度も出勤せず半月後に退職し、その後は漁船の登録業務の経験がない別の男性が採用されたという。こうした点から「拒否の理由が組合活動にあるのは明らか」と主張している。
 岩沢さんは会見で「業務は正規職員と同じだった。身分が保障されない非正規職員の実態を是正していきたい」と述べた。
 県漁政課は取材に対し、「訴状を見ていないので詳しくコメントできないが、『雇い止め』ではない」と答えた。▲

■「嘱託員再任拒否は不当」つくばの男性、県提訴
 (2011年4月22日『茨城新聞』)
http://www.ibaraki-np.co.jp/news/news.php?f_jun=13033968950348
非常勤嘱託員の再任用を県が拒否したのは不当だとして、つくば市、介護士、岩沢仁志さん(48)が21日、県に対し、地位確認などを求める訴訟を水戸地裁に起こした。
訴状などによると、岩沢さんは2007年4月に任期1年の嘱託員として採用され、県霞ケ浦北浦水産事務所に勤務。再任用された08年4月から非正規職員の待遇改善を求めて労働組合で活動を行った。その後、同年12月に上司から再任用拒否を告げられ、09年4月には任用されなかった。同年7月には、水戸地裁に地位確認の仮処分申請をしたが、同年11月、却下された。
岩井さんは「再任用しなかった理由は組合活動などを行ったことにあり違法」などと主張している。
弁護団は「非正規職員が合理的理由がないのに生活の道を断たれてはならない」としている。岩沢さんは「同様の非正規職員のためにも判例を積み上げ(救済への)道筋を作りたい」と話した。
県は「訴状を見ていないので詳細は差し控える」とコメントした。▲

「非正規労働なくす4・16集会」(脇田先生が講演)

■集会:非正規労働者の現状を考え--下京で16日 /京都
 (2011年4月13日『毎日新聞』京都版)
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20110413ddlk26040590000c.html
 派遣労働者らの不当な扱いの改善を考える「非正規労働なくす4・16集会」が16日午後6時半~9時、京都市下京区の「ひと・まち交流館 京都」で開かれる。企業との係争の報告や、東日本大震災からの労働者保護のアピールがある。
 脇田滋・龍谷大法学部教授が韓国の非正規労働者の現状や活動成果について講演する。パナソニックやヤンマーなどを相手に裁判闘争をしている国内労働者からの報告もある。
 また、東日本大震災の影響による解雇・雇い止めの問題について、雇用確保や雇用保険の弾力的運用などの救済策を考え、訴える。
 参加協力費は500円(非正規労働者・学生・無職は300円)。問い合わせは、主催の「なかまユニオン京都分会」(電話075・622・6241)か、分会長の脇田芳和さん(090・7364・1812)へ。【太田裕之】▲

04/29「8時間は私たちのために!メーデー」

正規では働けない人、なりたくても正規の職につけない人、そもそも働けない人、必死に働いてるのに「しょせんパート」とばかにされてる人、仕事は好きなのに雇い止めになった人……、そんな人たちのための“メーデー”もある。

どんな仕事でも、仕事がなくても、「8時間は私たちのために!」


● 8時間は私たちのために!メーデー ●
mayday: 8 hours are for ourselves !
~早めの休憩で安全な生活に~

 2011年4月29日(金・休日)
【時間】10:00~18:00
【場所】京都市:賀茂大橋と出町橋の間の賀茂川西岸(雨天の場合は京都大学文学部新館近く)

「なめたらアカン女の労働!!――京大雇い止め裁判の判決に寄せて」

嶋田ミカさんがご自身のブログ《嶋田ミカの雇い止め日記》に、「京大雇い止め裁判判決について」として、判決に対する怒り・分析・展望を書かれています。ぜひご一読を。

「なめたらアカン女の労働!!――京大雇い止め裁判の判決に寄せて」
 (嶋田ミカの雇い止め日記 2011-04-05)

04/30 講演会「大学の貧困」(大阪)

☆なんなんメンバー2人がしゃべります!

■「貧困を考えるⅡ」2011年講演会 『大学の貧困』

時間:2011年4月30日(土)15:30~17:00
場所:河合塾大阪校S館301教室

ゲストスピーカー:
 渡邊太さん(元大阪大学教員)
 大椿裕子さん(元関西学院大学職員)

 「就活」という語が普及したのは「就職」の困難さとパラレルな現象でしょう。大学の三年生が黒い「就活」スーツを身にまとい都市を徘徊するあわただしさが、一方で大学「教育」の貧困、つまり「就活」が大学での学業を妨げているという指摘もすでになされています。さらに〈大学の貧困〉は、学生ばかりでなく教員や職員にまでも及んでおり、「非正規雇用」「雇い止め」という語がメディアを賑わすようになりました。昨年の「ホームレス」支援者である生田武志さんの講演についで、今年は受験生とは切っても切れない関係にある〈大学の貧困〉、いま実際に大学で働いておられる教員・職員の方々の〈生の声〉を聞き、大学の実情を認識することから、考えることを始めていきましょう。

◆渡邊太さん(元大阪大学教員)
 大学でも近年、非正規雇用化が進んでいます。2004年の独立行政法人化を契機に、国立大学でも非常勤職員の雇用期間に最長5年や6年までという年限が設けられたりしています。「経営の合理化のために」という名目で、数年ごとに働く人をつぎつぎと入れ替え、クビを切りたいときにいつでも切れる状態が保たれています。図書館や事務で働く多くの職員は来年の契約が更新されるかどうか不安な思いを抱えながら、日々の業務に就いています。学生に対しては正社員になるべく就職セミナーや就職ガイダンスを手厚くおこなう一方で、大学のなかでは非正規労働者がますます増加しつつある。この状況は、いったいどういうことなのでしょうか。
 わたしたちは、去年と今年、大阪大学で非正規労働者の雇い止めも含めて大学の現状とこれからについて考える集まりをもちました。学生、大学院生、専任教員、任期付き教員、非常勤職員、非常勤講師、学外者、さまざまな立場の人たちが集まり、大学についていろんな話をしました。
 大学は、自由な学びの場として機能しているだろうか。大学が希望と自由を生みだす場となることができていないのはなぜか。わたしたちは、たとえそれが妄想であったとしても、大学が希望と自由の場であることを信じています。

◆大椿裕子さん(元関西学院大学職員)
 4年間の有期雇用で関西学院大学を雇い止め解雇。労働運動に出会って、「それってオカシイ!」と声をあげることが出来ました。自分の直感を信じ「オカシイ!」と声をあげることの気持ちよさ。そんなことを伝えにお邪魔させていただきまーす♪

主催:河合塾文化教育研究所現代思想研究会 【ポスターのデータ[PDF]】

さぁ、私の命はおいくらか?――書評『今こそ有期雇用労働者の権利確立を!』

『労働情報』813号(2011年4月15日号)に掲載された(p.16)大椿さんの書評原稿を以下に転載します。


■さぁ、私の命はおいくらか?――書評『今こそ有期雇用労働者の権利確立を!』
 =有期労働契約の法規制=学習資料編集委員会編/頒価300円
 ◇評者:大椿裕子(大阪教育合同労組/関西学院大学雇い止め解雇事件当該)

 名古屋の2人の弁護士が、有期雇用労働者が交通事故で死亡した場合、その損害賠償は、全産業の平均賃金を適応するのは妥当性に欠く。相当程度減額した上で算定すべきという論文を書いていたことを本書で知った。
 昨年3月末、有期雇用を理由に大学を雇い止め解雇になった。それ以前も従事した仕事の多くが非正規。大して有名な大学も出てないし、女だし、37歳で未婚だし、子どもいないし!一体私の命の値段、どんだけ買い叩かれんねん?そう考えていたら怒りや悲しみを通り越し、もう笑うしかなかった。
 私が雇い止め解雇撤回を求め、組合に入り争議を始めた頃、家族、友人、同僚、新聞記者や地方の政治家も「言っていることは正しいが、一旦契約したものを撤回できるわけがない」と言った。団交に出席した大学理事からは「有期雇用に納得して契約したのだから、それはあなたの自己責任」と言い放たれた。その度に「オカシイのは私か?」と気持ちが揺らいだ。「恒常的な業務を有期雇用にすること自体が問題」という確信に辿り着けたのは、組合や、同じように声を上げた有期雇用労働者の存在があったからだが、当時、本書のように有期雇用の問題点を体系的かつ簡潔にまとめたものがあれば、私は自分を責めることから早い段階で解放されていたかもしれない。
 かつての私のように、オカシイと感じながら確信が持てず、「変えられない」と諦めている有期雇用労働者たちに、そして、薄々有期雇用の限界を肌で感じていながら見ぬふりをしている使用者達に、互いがこの問題に向き合う導入として、私はこのパンフレットを手渡して歩きたい。
 有期雇用は変えられる!▲

闘いは続くが絶望はしない

3月末は、雇い止め当事者(とその身近なの人たち)にとって、いつだって憂鬱で寂しくて屈辱的な季節です。闘っていても、闘っていなくても。

ご存じのかたも多いと思いますが、ユニオンエクスタシーの裁判とユニオンsocosocoの団交で、信じられないような不当・不条理な展開がありました。くわしくはそれぞれのリンク先のブログをご覧いただければと思います。

それぞれの組合員のみなさん、そしてずっと支援してきたみなさんは、怒りと疲れとやるせなさを抱えていることでしょう。当然です。どんなに強い人でもそうなるはずです。

しかし私たちは、いつだって絶望はしません。この問題を「おかしい!」と思っている人はたくさんいて、みんなで支えあって運動を作ってきた、その過程を共有しているからです。最後の最後で信頼できるものが、誇りをもてる個とつながりのアイデンティティがあるからです。

そう、たしかに、信じられないくらい稚拙な現状認識・問題意識しかもっていない大学トップや裁判官は(一般的に思われているよりはるかに)多くいます。そんな人たちには「まともな」運動が通用しないこともあります。だけど、それでジ・エンドになるほど私たちは脆くないし、お人好しでもないのです。

嶋田さんの裁判もまだ続きます。エクスタシーもsocosocoも、これで終わるわけではありません。twitterやブログを通じて、問題はすでに全国で共有されています。

これからもみなさんのご支援と「抵抗」を期待しております。進みましょう。