広島電鉄による非正規社員の正社員化

■論点2011ひろしま:広電「非正規」300人、正社員化実現1年半 /広島
 (2011年5月25日『毎日新聞』広島版)
http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20110525ddlk34040578000c.html
 ◇不安解消、意欲向上 楽しく働く職場づくりを――佐古正明・労組執行委員長
 「働くこと」の意味が問われる時代になっている。金融危機を機に多くの非正規労働者が解雇や雇い止めにされるなど、不安定な雇用が社会問題化した。そんな中、契約社員(1年契約)ら非正規社員約300人の正社員化を労使の合意で実現した「私鉄中国地方労働組合広島電鉄支部」(組合員約1300人)の佐古正明執行委員長(50)に、改めてその意義を聞いた。【聞き手・樋口岳大】
 ――09年10月に非正規社員の正社員化を実現してから1年半余り。職場の雰囲気は。
 ◆非常に落ち着いている。正社員化に伴い、従来の正社員の中には賃金が下がる人が約300人出たが、10年間で激変緩和する措置を取った。定年も60歳から65歳に延長した。これらによって痛みを多少和らげることができた。
 元々、非正規社員だった人は正社員になり、モチベーションが上がっている。契約社員の時にあった「次の更新をしてもらえるだろうか」という不安がなくなり、事故減少などのサービス向上につながっている。雇用が安定し、結婚する人や住宅を取得する人も増えた。
 会社側は正社員化の原資として3億5000万円を捻出した。相当な決断をしたと評価している。
 ――賃金が下がる層から反発はなかったか。
 ◆当時、「賃金は毎年春闘をやって積み上げた労働運動の結晶。なぜ組合が下げるのか」などの不満はあった。しかし、「これ以上放っておくと契約社員が過半数を占めることになる。その時に正社員の労働条件が守ることができますか」と組合員に理解を求めた。
 ――契約社員が導入された後、組合員化した理由は。
 ◆不安定な労働者の面倒を十分に見られるかという不安はあった。しかし、やはり組織で抱えておかないと後々禍根を残すという思いが強かった。93年まで39年間、広電の労組が分裂して非常に苦労した歴史を踏まえ、そう考えた。
 ――社会全体に目を向ければ、雇用が不安定化し、何が違法か適法かを知らないまま、働いている人が多い。
 ◆我々の労働組合では「権利、義務」の話は、先輩から徹底的にたたき込まれる。例えば、電車が1分遅れても時間外勤務を申告する。年次有給休暇の取得率は100%に近い。そういう伝統があるから、労働組合の存在価値がある。逆に、(乗務前の検査に引っかかるほどの)飲酒や金銭の不正などについては「組合は絶対に擁護しない」と徹底している。
 ――働くことの意味は。
 人間っていうのは働かんとだめだ。それも楽しく働かないと。みんなでワーワー楽しく仕事をして、また家に帰って家族と団らんする。そういう職場を作りたいし、そうであれば、人間が生きていくうえで働くことの意味は大きいと思う。
==============
 ◆広電の非正規社員の正社員化を巡る主な流れ◆
01年 6月 バス事業の赤字、規制緩和の流れの中で、会社側はバスの運転手、電車車掌に契約社員(1年契約)を導入。契約社員を労組に加入させるユニオンショップ協定(労働者が必ず労組に入らなければいけない約束)を労使が締結。労組は、契約社員の入社3年後の正社員登用を要求。
02年 2月 改正道路運送法施行。乗り合いバス事業の参入、撤退が原則自由に。
04年10月 入社3年後の契約社員を正社員2(期間の定めのない雇用だが、正社員より賃金水準などが低い)に登用する制度を導入。
06年12月 正社員、正社員2、契約社員の労働条件統一に向け、職種・職責に応じた新たな賃金制度導入を協議することを労使が確認。
09年 6月 新賃金制度導入を労使が合意。
09年10月 新賃金制度を導入。正社員2、契約社員を正社員化。▲

『若者の労働運動――「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学』


■橋口 昌治 20110325 『若者の労働運動――「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学』,生活書院,328p. ISBN-10: 4903690709 ISBN-13: 9784903690704 2625円(税込)

★詳細ページ→[こちら]

〈ユニオンぼちぼち〉副執行委員長の単著です。ぜひお読みください!

「働く女性、最多の2329万人=非正規が増加―10年厚労省まとめ」

*「景気回復基調の中で非正規社員が増え」という一節、何も疑問を感じない人いるのでしょうか?

■働く女性、最多の2329万人=非正規が増加―10年厚労省まとめ
 (2011年5月20日17時6分 asahi.com)
http://www.asahi.com/politics/jiji/JJT201105200094.html
 厚生労働省が20日まとめた2010年版「働く女性の実情」によると、震災前の景気回復基調の中で非正規社員が増え、女性の雇用者数は前年比18万人増の2329万人と過去最多になった。男女合計の雇用者総数は5462万人。女性の占める割合は0.3ポイント上昇して42.6%となり、過去最高となった。
 産業別雇用者数は、医療・福祉が483万人となり、初めて最多となった。
 雇用者のうち、非正規社員は22万人増加した一方、正社員は前年と変わらなかった。非正規社員の占める比率は、比較可能な02年以降で最高の53.8%となった。
[時事通信社]▲

■働く女性、過去最多の2329万人
 (2011年5月20日19時44分『読売新聞』)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110520-OYT1T00919.htm
 2010年の女性の雇用者は、過去最多の2329万人(前年比18万人増)になったことが20日、厚生労働省がまとめた「働く女性の実情」(女性労働白書)でわかった。
 震災前の景気の回復傾向を受け、非正規労働者が増加。雇用者総数に占める女性の割合も42・6%(前年比0・3ポイント増)と過去最高になった。
 白書によると、正社員は横ばいだった一方、非正規労働者が前年比1・8%増の1218万人。全体(役員を除く)に占める非正規労働者の割合は53・8%と、比較可能な02年以降で最高だった。
 特に、「30~34歳」の既婚者が働く割合が増え、就業率は52%と、10年間で9・6ポイント増えた。厚労省は「景気の低迷で結婚後も働く女性が増えたことや、企業で子育てをしながら働く環境が整いつつあることが背景にある」としている。11年の女性の雇用の見通しについては、「震災で非正規労働者が影響を受ける可能性もあり不透明」としている。▲

twitterはじめました

ついに〈なんなん〉としてtwitterアカウントとりました(遅い!?)。

http://twitter.com/nannan_kansai

フォローのほど、よろしくお願いいたします!

立命館に非正規労働者の代表を!

5月17日(火)から、《2011年度立命館大学労働者代表選出選挙》の投票が始まります。

今回は、「Vote SHIMADA!!!」を合言葉に、衣笠キャンパスの選挙に非正規教職員の代表として立候補された嶋田恭子さん(法学部・非常勤講師)を応援するキャンペーンが展開されています。
こちらのホームページをご覧ください。

◆立命館に非正規労働者の代表を!
https://sites.google.com/site/voteshimada2011r/

ビラもここからダウンロードできます。

ぜひ宣伝のご協力と応援、そして(投票権のあるかたはもちろん)投票をお願いいたします!

投票期間は、5月17日(火)~5月31日(火)です。お忘れなく!

『女性労働研究』55号:「均等法25年と女性労働――分断から連帯へ」

◆嶋田ミカ(原告) 20110322 「〔法廷から〕なんで有期雇用なん!?――龍谷大学雇い止め事件」,『女性労働研究』55:159-165

上記収録してます。
★→目次情報

第21回京都地域メーデーに参加しました

5月1日、《第21回京都地域メーデー――やめろ戦争!許すな貧困!私たちが社会を変える!》に参加してきました。三条河川敷での集会でアピールをさせていただいたあと、円山公園までデモ行進しました。

企画「アジアの女性労働と貧困――大学の有期雇用問題から考える」

■アジアの女性労働と貧困――大学の有期雇用問題から考える
  (生活保護切り下げに反対する実行委員会・連続座談会第11弾)
日時:2011年5月8日(日)午後2~4時
場所:ふるさとの家(西成区萩之茶屋3-1-10)
講師:嶋田ミカさん(龍谷大学雇い止め事件原告)

★詳細→http://www.arsvi.com/2010/1105.htm#08