報告と御礼

2015年2月28日(土)に開催しました、第6回「なんで有期雇用なん!?」集会「つなげよう、首を!part.2――極悪大学・阪大を告発する」(於:大阪大学豊中キャンパス)は、60名の方々にご来場いただき、熱気にあふれたすばらしい集会となりました。集会後のデモと交流会にも大勢のかたが参加してくださいました。参加されたみなさま、 メッセージを送ってくださったみなさま、本当にありがとうございました!

集会の詳細は、追って簡単な報告集([参考]→第5回集会の「ぷちレポート」)を作成するなどして記録に残し、広く知ってもらえるようにしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

第6回「なんで有期雇用なん!?」集会:集会アピール文

【第6回「なんで有期雇用なん!?」集会】
つなげよう、首を! part.2――極悪大学・阪大を告発する

◆集会アピール文
2015年2月28日

 私達は2010年以来、大学有期雇用労働者の使い捨て問題に抗して、「なんで有期雇用なん!?」集会を様々な大学で開催してきました。今回は、2013年第4回集会(「つなげよう、首を!――3年&5年の壁をぶち壊せ!」)以来2度目の大阪大学での開催になりますが、それは、この問題が最も激烈な形で噴出しているのが阪大だからです。その典型が、石橋さん達2004年の国立大学法人化以前から勤務する長期非常勤職員の問題です。他の国立大学法人が労働条件の一方的不利益変更を避けるため法人化前からの長期非常勤職員の契約更新に上限を付けなかったにもかかわらず、阪大だけが2009年10月26日付「特例職員制度導入に伴う今後の雇用について」文書で、「特例職員」以外の長期非常勤職員の2015年3月末大量雇い止めを強行します。更に阪大は、非常勤職員の賃金に交通費を含めることで大多数が女性である非常勤職員のワーキングプア化・女性の貧困化を促進し、また、労働契約法第18条に定める、5年を超えて契約更新する有期雇用労働者への「無期雇用契約への転換申込権」を3年・5年等の契約更新上限を付けることで剥奪しています。
 非常勤講師(及びティーチングアシスタント(TA)・リサーチアシスタント(RA)・アルバイト)に対しても、管轄省庁の文科省が2004年3月15日付「法人化後の非常勤講師の給与について」通知で法人化後の非常勤講師にはパートタイム労働法が適用されるとしているにもかかわらず、阪大は「準委任契約」という詭弁によって有期雇用労働者の身分を否認しています。更に他の有期雇用教職員の「無期雇用契約への転換申込権」も、研究開発力強化法の「労働契約法の特例」を悪用した契約更新10年上限の就業規則で奪いました。
 阪大の専任教職員に対しては、学校教育法及び国立大学法人法の改悪を利用して「大阪大学部局長選考規程」を定めて教授会から権限を剥奪し、阪大総長が意のままに部局長を選べる制度にすることで、教授会自治の伝統を破壊しています。
 最後に、阪大の教職員と学生に対しては、2017年4月からの3学期制導入を現場の教員および学生の意見も聞かず一方的に決めることで、有期雇用教職員の労働条件の切り下げだけでなく、教育の断片化・劣化を推し進め、学内の民主主義を根底から破壊しています。
 私達は、阪大の各組合の団体交渉等に加えて、関西圏大学非常勤講師組合の大阪地検への労基法第90条違反の刑事告訴や石橋さんの「将来の地位確認裁判」等、様々な形で阪大への闘争を続けてきました。阪大が先導する有期雇用教職員の使い捨ては他の大学にも拡がることは必至です。私達大学有期雇用労働者は、その存在を決して認知されることのない透明人間・機械の歯車として扱われてきました。その私達が様々な大学の様々な立場の労働者や学生と連帯し、阪大の中で阪大に抗してこの集会を開催しました。今ここから、有期雇用労働者の使い捨てへの闘争・抵抗が更に拡がることを、心から願ってやみません。

「大学非正規労働者の雇い止めを許さない関西緊急集会」実行委員会

集会へのメッセージ(首都圏大学非常勤講師組合委員長 松村比奈子さん)

■第6回 なんで有期雇用なん!?集会に寄せて
首都圏大学非常勤講師組合委員長 松村比奈子

 「第6回なんで有期雇用なん!?集会」にご来場・ご参加の皆さま。本日の盛会を心よりお祈り申し上げます。そして首都圏大学非常勤講師組合より、共感と共闘のエールを送ります。ここ数年の日本の労働環境においては、アメリカを席巻する新自由主義と安倍政権によって、日本国憲法が保障するはずの勤労の権利どころか、個人の尊重も公共の福祉ももはや完全に形骸化しています。民主主義の発展ではなく後退の危機です。
 唐突ですが皆さま、「北斗の拳」という1980年代に発表された漫画をご存知でしょうか。私はおよそ20年間、大学で日本国憲法の講座を担当してきましたが、今の日本は、まさにあの漫画が描く荒廃した時代です。弱肉強食が支配するその階級社会で、主人公ケンシロウは人間の尊厳と正義を追い求めるのですが、それはちょうど、私達労働組合の立場と重なります。日本国憲法はしょせん「絵に描いた餅」であり、それを実現する戦いと努力なしには達成できないものだということを、私はこの漫画やニュースを紹介しながら学生に教えています。ますます私有財産の権力と欲望にまみれつつある現代に、正義は本当に実現可能なのか?ここに集う皆さまひとりひとりが、現代のケンシロウです。
 およそ2年ほど前、当組合は早稲田大学を刑事告発・告訴し、世間の注目を集めました。当時、それは「窮鼠猫を噛む」という扱われ方でしたが、今思えば、あれは教育研究者の総奴隷化に対抗するための、重要なターニングポイントでした。それまで静観していた当事者たち自身が立ち上がるきっかけになり、他大学の盲目的追従もやみました。それはおそらく全国的な傾向でしょう。また関西圏大学非常勤講師組合委員長の新屋敷健氏の奮闘により、さらに国際社会においても日本の労働問題が注目され、有期雇用の在り方全般について、政府はもはや内密に事を進めることはできなくなりました。
 今、安倍政権はなりふり構わずむき出しの支配欲で労働者を使い捨てる法改正を繰り返しています。しかしそのせいで、当組合には多くの組合員が加入し現在は460名を超え、今も拡大し続けています。また注目のおかげで、団交を申し入れるだけで騒動がおさまる事例もでてきました。社会を変えるのは、結局のところ法律の条文ではなく人間の意欲と活動です。そして活動の成否には参加者の数が重要です。それを当組合は痛感しています。ですから今こそ組合をアピールし、労働者の階級化に反撃するチャンスです。全国で活動する様々な組織の皆さまが、この集会につどうことで、積極的に情報交換しながら、人間らしい生活を求めて戦う意欲を新たにされることを願ってやみません。本当に大事なのは私達ひとりひとりの熱意です。皆さま、一緒に頑張りましょう!
平成27年2月28日